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「帰んないで。俺と一緒にいて。……俺から離れていこうとしないで」

 狼谷くんの匂いが濃くなる。苦しいくらいに抱き締められて、呼吸が浅くなっていく。

 彼の唇が私の耳を食んだ。

「もうほんとに、羊ちゃんだけなんだ……」

「ひゃ、う……」
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