「こころ」

掌に乗る鍵をそのままにしている私の手を掴む男が、それを引き寄せるので嫌でも階段を一段上るようになり。

「お前が決めていい」

そう言いながらもさらに引き寄せられ、もう一段上がるとその距離はあまりに近く。
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