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「んんっ、ぅ」

限界だ、息さえままならない。

そう思って、肩を何度も何度も叩いた。どんなお咎めを喰らったって構わない。

だから、離れて、離れて、

苦しい、熱い、苦しい、

くるしい、

「…っぷ…はぁ、」

「叩くな、不愉快だ」

「っ、いきが…っ」

「知ったことじゃない」

「こ、れいじょうは、しにま…すっ」

「……」

伝えたい言葉はそれだけじゃない、けれど呼吸が上手く出来ない。

声は擦れていて、音にするのもやっとだった。

「なら、」

そんなあたしをただただ感情なく見下ろし、八神さんは短く、はっきりと。

「死ね」

「ぇ、…ん、ぅっ」

答えられたと同時に唇を塞がれる。

角度を変える度に、濡れた音がした。

恥ずかしい、という感覚すら薄れてくる。

ただ、嫌だ、苦しい、という感覚だけが、心の中を渦巻いていた。

ごく、と、無意識に喉が動く。

互いに濡れた唇が、そのキスの長さを物語っているようだった。
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