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疑問が頭を埋め尽くし、首を傾げて見つめると。

「5年じゃ無理だったな。」

……5年?

「結局6年かかっちまったわ。」

ーっ!、ま、って、それって、

微かに覚えのある6年前の記憶が脳裏に浮かび始め、じわじわと視界が歪み出す。

「茉依、」

鋭い目を下げて柔らかく微笑う哉希が、

「————……結婚するか。」

前触れもなく放った一言に、

「俺だけ愛して生きて、死んでくれ。」

異常な幸せに、堪えきれない涙が溢れ出す。
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