ぐ、と下唇を噛んで涙を堪える息吹を見下ろした美聖が、怪訝な顔をする。「息吹?」リビングにソファーにそっと降ろされた息吹は下唇をきつく噛み締めたまま。美聖は息吹の正面に床に膝をつくように屈みこみ、息吹の顔を覗き込む。「息吹、何かあった?」息吹は唇を噛んだまま、首を左右に振る。美聖の優しい眼差しに、瞳を覆う涙の量がじわりと増える。美聖は息吹の髪を優しく撫でながら、甘えるように低い声で呟く。「息吹が辛いの、俺にも分けて欲しいな。」