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「えーまさかこの展開は想像してない想像してないー」

雅也がふざけながらティッシュを持ってくる。

……理由は明らかだ。

あたしが、泣き出しちゃったから。

……止まんない。

止まんないよ。

「、ごめ、」

顔を見られないように覆って、席を立つ。

「ちょっと、あれ、何か、おかしいから、えっと、ごめ、」

みんなに背を向けて、よく分かんないまま逃げるようにして別の部屋に入る。

ベッドがあったからそこに飛び込んだ。

……収まれ、収まれよ、あたし。

何で。

何で、こんなの。

あたしらしくない。

あたしって、こうじゃない。

泣いたりなんかしないのに、いつもは。
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