主人公の沖本由恵は元気で活発な女の子だった。
身体を動かして思いっきり遊ぶのが好きな女の子だった由恵は思考が少し男の子よりだったこともあり、女の子と遊ぶよりは外で男の子と元気に走り回る方が好きだった。けれどそんな由恵も、他の女の子から見たらちゃんと『女の子』
「好きな人いないの?」
ある日そんなことを聞かれた由恵はまだ恋愛のことなんて知らなかったので「皆好き」と答える。それを同い年の女の子はどう捉えたのか呆れたため息をついて学年の男子名簿を由恵につきつける。
「この中にいるでしょ」
つまり一番好きな子をちゃんと決めろ、ということだった。そんなことを強制されても由恵はわからない。どうして彼女たちが好きな人を知りたがって、かつ一人に絞らせようとしているのかがわからない。
わからないことだらけの問題を急に突き付けられた由恵は、面倒くさくなった。
だから、適当に2番目に人気な男の子を指した。
この小さな嘘が、後々大きな問題へと繋がり由恵の人生を苦しめていくことになる。
由恵が本当の好きを知った時、彼女から発せられる感情の発露に思わず涙する。