雪の国レイベルクの第三王女セシルは、銀色の髪と赤い瞳を持つ忌み子として辺境の地にて幽閉されていた。そんな彼女を妻にと望んだのは、炎の国メルバジールの第一王子アルベルトだった。
けれども迎え入れられた炎の国では何もするなと命令され、城の者たちもセシルを腫れ物のように扱う。冷たい言動が多いアルベルトに怯えるものの、時折垣間見る優しさにセシルは困惑し翻弄される。
楽しいとは言えない結婚生活を送る中、セシルは庭園の納屋を見て激しい頭痛と共に倒れてしまう。その時によみがえった記憶は、自分とアルベルトが仲睦まじく過ごしているものだった。
覚えのない記憶と、思い出すだけで身震いする庭園の納屋。冷たいのか優しいのかわからないアルベルトは、セシルが庭園へ行くのを異常なくらいに警戒する。それらの理由はどうやら、セシルの失われた記憶にあるようで……。
すべてを思い出したときに、セシルはいかに自分が愛されていたのかを知る。切なくて甘い大人の恋愛ファンタジー。