現代の漫画家さんがコミカライズしたやつを読みました。(お名前を忘れた。)
石ノ森版も小説も読んだのですが、それぞれの解釈が面白い。
沼正三さんの原作は日本文化を虐殺せしめんとして書かれており、石ノ森さんのはクララを優しい性格として描くこと、また、未来帝国イースを奇妙な世界として描くことを主題にしているように見える。
セシルの解釈は今読んでいるバージョンが一番面白い。
セシルが美しく、家畜であるヤプーのことですら性的な話になると恥じらいをもった男性であることがイースの男女逆転を物語っていて実にいい。
また、男性も美形が多いことに美意識を感じる。
多分、イースとはそのような、ある種の桃源郷なのだろうと思う。
私は一番病んでたころ、天国を求めてこの作品を読んでいたため、このバージョンの男性観がものすごくいいなと思う。
イケメンが無様な生体家具や家畜に変えられていく様に興奮してしまう。また、イースくらいに美しい世界だと、家畜や生体家具でさえそれなりに気の利いた顔なのだろうと納得してしまう。
石ノ森氏のでっぷり太ったセシルがヤプーになんの恥じらいもなく去勢を行うのも白人が家畜を見る目って感じだし、男とは女の美しさには勝てないモノと表しているようで素敵だったが、今作の方がより原作らしさを感じる。沼正三氏が思い描いた世界はこちらではないのかと思う。
ユニセックスな白人男女が愛し合い、無数の黒奴とヤプーがその生活を支える、非人間的な、退廃的な、それでいて夢のように便利で美しい世界。
また、白人間にも男女、ブロンドかどうかや支配指数とか呼ばれるいわゆるカリスマのようなものによって階級差のあるディストピア。
整然としたその秩序に恍惚となってしまう出来栄え。
早くも続きが楽しみだ。