106 通夜
こんにちは。
毎回思うけれど、喪服ってどうしてこんなに疲れるんだろう。
もう喪服で疲れて、石垣島から帰ってきた時と同じくらいの体のドロドロ感です。
今日はとにかく寒かった。冬がもう一度やって来てしまった。
陽が出ているうちは、まだどうにか我慢が出来たけれど、陽が沈んでからは気温も低いし風も強いし体感温度は氷点下。(私は寒がりなので言い過ぎだと思うますが)
電車や駅で見かける人たちは、もう春の装いの人も多く、大丈夫かな?と。だってぺらっべらのワンピースの人とか、ストールも羽織れそうなアウターも持っていなかったし。……おしゃれは我慢なんですね。
まぁ、そんな事を観察して考えるくらいには余裕があったって事です。
昨日はドスンと受け入れがたい現実がのしかかってて来て、お風呂に入る事も出来ず、眠れないのにお布団にくるまっていました。
起きてお風呂に入って、習字の練習をして御香典袋を書いて……
まぁね、受け取ってもらえないとは思っているんですよ。最近、ご家族の御意向で受け取らない御式が多いし、きっと今回もなんだろうな、って。それでも用意していかないわけにはいかないから、こんな時くらいにしか使わない筆で下手な字を書いて。
合流した友達は計三人。みんな長い付き合い。そしてうち二人は久しぶり。
顔を合わせると、なんだかんだ言いながら笑顔になる。馬鹿なことも言いたくなる。
「こんな事じゃなかったらね、」と。まるで子供が大きくなったから正月に里帰りしなくなった親戚のような感じの会話になる。
みんな大学生や高校生の頃から知り合っていて、もう今は全員社会人。そのうちの二人は立派に家まで建てて。私には眩しいくらいの大人だ。
今回他界してしまった彼女も、初めて出会ったのは高校の頃。もう時効だと思うけれど、その頃彼女は煙草を吸っていたなぁ~とふと思い出す。「そろそろ止める」と言っていた。「なんでやねん!」と突っ込んだ事を思い出す。
色々心にため込んで、なのに人にその事を気づかれないようにしている子だった。優しい?……それは彼女を表現するには、一面でしかないと思う。優しいけれど、弱さでもあったと思う。もっとドカッと適当に生きてくれれば良かったのにな。……でもまぁ全てひっくるめて彼女の良いところなのだ。
ご両親に「この度は……」と言って言葉が詰まって続きが言えなかった。もう込み上げてきてしまって。お顔を見たら、辛くて。
この世で一番辛いのはご両親なのだから、そのご両親が泣かずに気丈に会場にいてくださるのだから、私は絶対泣かないって思っていたのに、昨日泣かなかったのも涙腺の蛇口が馬鹿にならないようにする為だったと信じてるのに、こんな本番で何をやっているんだ、私!
昨晩、ネットの知り合いで集まってお花のお供えをしたのだけれど、祭壇もそのお花も、以前に彼女が私たちの知り合ったきっかけになっている歌手のライブで送った花と色合いが酷似していた。
藤色と白と青。
あとでお父さんに聞いたら偶然だったらしく、私がその時のライブのお花の画像をお見せしたら「こんな偶然あるんやね」と涙を流されていた。
彼女はきれいにお化粧をしてもらって、彼女が一度も袖を通すことが無かったという、アーティストのブランドワンピースを着ていた。お母さんに「あのワンピースにされたんですね」と言ったら「やっと着る事が出来て……」と。あれは夏の終わりに販売だったんだろうか?
最近発売された新譜(アルバム)も数回しか聞けていないらしく、意識を失っている枕元で流していたと言っていたから……秋から春までの間、ワンピースを着てのお出かけのチャンスは確かに無かったのかもしれないなぁ。お出かけは体力つかうものね。
病気を患って病院で最期を迎える方の、最後の下り坂が急すぎて。ひぃちゃんの時もそうだったけれど、一か月前までは普通に会話で来ていたというのに。
とにもかくにも、棺の中の彼女はあいも変わらず美人でした。私はずっと美人だと彼女本人に言い続けていたけれど。本当に全てが美しい人でした。
長居も出来ないので、通夜が終わり外に出るとピンクムーンが浮かんでいた。この時期の満月は花が咲く季節だからピンクムーンと言うそうで。
ぽっかりと浮かんだ白い月は、色の白かった彼女の様で、彼女を迎えに来たのかな?と思うくらいの存在感で浮かんでいた。
明日は葬儀です。行く予定にしていますが……辛いなぁ。
葬儀が終わると、どう頑張っても彼女に触れなくなるのだから。
なんか取り留めなく書いてしまったな……
帰宅したらインコが私の帰宅が遅い事に怒って拗ねてました。抱っこしながら寝転んでいたら、転寝しそうになるくらい疲れていて。
今日は早く寝て、明日の喪服ダメージに備える事にします。
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