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そら

2003年〜2010年までHP『モモと空』で連載していた『私とあたし』(ノンフィクション小説)  その後、読者様からすすめられた『旧魔法のiらんど内』でも、2010年(12月1日)〜2012頃まで連載。(いちお完結)

約10年ぶりに戻り、2022年1月から、新しい魔法のiらんどIDに移行中&10年振りに連載再開です。

昔のようにしおりはなかなか増えないけれど、たくさんのPVありがとうございま…

コツコツ更新

一部抜粋『私とあたし』より。


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『シンちゃん』

あたしは、そう呼んでいた。

シンイチロウ。
その人と出会ったのは『ウリ』を始めたばかりの頃だった。

歳は、あたしより一回り上くらいで…。




夜中、駅の出入り口付近の壁にもたれかかり、そのまま地べたに座って、ボーとしていたら声を掛けられた。

この駅は、遅くまでやっている飲食店やゲームセンター、コンビニなんかもあり、深夜でも明るい。


『誰か待ってるの?』

ありがちなナンパの様に思えた。

左手の薬指には、指輪がハマっていた。

(結婚してる人…)

指輪をしたまま、ナンパする奴も珍しい…と思ったのを覚えている。

『捨てネコみたいだぞ』

だから、あたしに声を掛けたんだと笑っていた。

(あたしのコト…いつから見てたんだろ)


地べたにペタンと座ったまま、あたしは彼を見上げた。



『あたしを、いくらで買ってくれる?』

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