コツコツ更新
一部抜粋『私とあたし』より。
↓
〜**···*・.・…*··*.…*··〜**···*・.・…*··*.
『シンちゃん』
あたしは、そう呼んでいた。
シンイチロウ。
その人と出会ったのは『ウリ』を始めたばかりの頃だった。
歳は、あたしより一回り上くらいで…。
夜中、駅の出入り口付近の壁にもたれかかり、そのまま地べたに座って、ボーとしていたら声を掛けられた。
この駅は、遅くまでやっている飲食店やゲームセンター、コンビニなんかもあり、深夜でも明るい。
『誰か待ってるの?』
ありがちなナンパの様に思えた。
左手の薬指には、指輪がハマっていた。
(結婚してる人…)
指輪をしたまま、ナンパする奴も珍しい…と思ったのを覚えている。
『捨てネコみたいだぞ』
だから、あたしに声を掛けたんだと笑っていた。
(あたしのコト…いつから見てたんだろ)
地べたにペタンと座ったまま、あたしは彼を見上げた。
『あたしを、いくらで買ってくれる?』
〜**···*・.・…*··*.…*··〜**···*・.・…*··*.
シェア
コメント
ログインするとコメントが投稿できます
まだコメントがありません