森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 8

買い出しが終わると、西村は自分の事務所から呼び出しを受け
荷物を店まで運んだあと、向かっていった。
弓弦は、昨日からどこに行ったのかほかのやつらに聞かれたが
呑みに出たので、bikeはとりには来なかったんだと言った。
しかし、内心誠は一晩一緒に居たんだろうと弓弦の横顔を見ながら
そう思いながら一人になるのを見計らって話しかけた。

「弓弦。」
「なに?誠さん。」
「弓弦さ、呑みには出てないだろ?弓弦味見する以外は酒飲まないもんな。」
「よく御存じで(笑)」
「んじゃ、どこにいた?」
「どこでもいいじゃないですか。」
「どこに行ってたんだよ。
 ひかりちゃんから遅く来てにメール来て心配してたぞ?まだ帰ってこないって。」
「ひかりのやつ(笑)」
「西村さんと一緒だったのか?」
「なんで?」
「一緒にそこまで来てたじゃん。」
「別に。」
「弓弦さ、何かあった?」
「何にも?」
「そっか、ならいいけどさ。」
「ご心配ありがとう。誠さん。」
「なぁ、弓弦。」
「本当に助けてほしいときは俺でも貴志でもちゃんと言えよ?」
「あぁ、ありがとう。」
「それはさておき、毎年恒例の全員参加の銀座のチャリコン。
 弓弦覚えてた?」
「え?」
「チャリティーコンサート!」
「あ?まじに忘れてた。」
「いつだっけ?あとひと月しかねぇけど?」
「まじで?誰も何も言わないし。」
「その話し合いを明日の午前中するけどさ。」
「今年はどうなるのかなぁ。」
「去年はEXILEやったじゃん?」
「今年も?」
「それがさ、僕と貴志と真志と俊哉と弓弦でmartinやるのか
 AKBだっけ?それやるかって。」
「えぇ?あたしもやるの?まさかぁ(笑)」

そういった話をしていると準備もままならないまま開店する合図が店内に鳴り響く。

「開店です。」

あわてて自分の場所に戻り、準備の続きをする。
メールも続々と入る。もちろん弓弦の携帯もさっきからメールが。

 `こんばんわ、弓弦。明海だよ。今日はお邪魔しても大丈夫?
  よければ21時ごろ行きたいけど?´

 `お仕事お疲れ。山下です。昨日はありがとう、楽しかった。
  またお姫様たちが来るときは連絡をいただけると
  男爵めはうれしく思います。´

 `弓弦さん。槙村です。ここの所うちのやつらが
  お世話になってすみません。
  今日は遅い時間でも大丈夫ですか?5人で伺いたいんです。´

まだ、弓弦の指名はまだ入ってないため自分のカウンターの中でメールの返信を始めた。

 `明海ちゃん。今日は大丈夫だよ。
  どうぞお越しください、久しぶりにおしゃべりしよう。
  21時ね?席をとっておきます。´

 `こんばんわ、男爵。こちらこそです、昨日はうちのひかりたちの
  子守をありがとうございました。ひかりも吉村さんも喜んでいました。
  また、お誘いしていただけるとうれしいですと
  ご伝言を預かっておりました。
  本当に、ありがとうございます。またのお越しをお待ち申しております。´

 `こんばんわ、槙村さん。楽しい時間を過ごさせていただきました。
  ご迷惑だなんて。社長さんも、秋山さんも皆さんいい方で。
  それと、この間はご馳走様でした。
  お料理の腕はすごいですね。奥さんになる人は大変だ(笑)
  今日は5人でというと?お仲間で?25時で閉店ですので、お気を付けて。
  入口の黒服に《原田弓弦》と指名を入れてください。
  あたしも伝えておきますので、入店できると思います。´

そうメールを返していると誠が呼んだ。

「弓弦!ちょっといい?」
「はい、なんでしょう誠さん。」
「こちらが(笑)」
「あぁぁぁぁぁぁ。伯父ぃ。」
「なんで誠さんを指名で?」
「お前をさ、ちょいと離れて観察って思ったんだがお前の客は遅そうだから呼んだんだ。」
「伯父ぃも人が悪い。」
「ははは。お前、ここの所続けて朝帰りしてるだろ?
 それも今日も帰ってこなかったらしいが。男か?」
「ちげぇよ。まったく、そんな探り入れに来たのかよ。」
「弓弦、口が悪いぞ(笑)」
「だって、誠さん。いっぱしの大人を疑いすぎてますって。」
「そうだなぁ、いい大人なんだから少しは放置してほしい気持ちもわかるが
  心配させるのは、感心しないなぁ。」
「誠さんまで。もうあたし25ですよ?」
「そろそろ女に脱皮しないとな(笑)」
「そこまで言いますか?(笑)」
「あぁ、ここの人間はそう思っているよ多分。」
「女な姿でバーテンダーだとある意味へんな店になりませんかな?」
「大丈夫でしょう、弓弦の男っぷりは女になっても
 ほかのやつらよりもいいですから。」
「なんか、複雑だなぁ。」
「さぁ弓弦、弓弦の客が来るころか?」
「まだまだ時間はありますが?」
「そうか、ならここで三人でかたろうや。」

そういって誠と弓弦と弓弦のおじさんと三人で料理の話で盛り上がっていた。
弓弦は誠が気を利かせて伯父ぃを呼んだのか、伯父ぃが気にしてここへ来たのか。
久しぶりに食べ物の話をしていたら、誠が言った。

「なぁ、久しぶりに夜釣り行きたいな。」
「あぁ、そういえば最近釣りしてないよねぇ。」
「今度湘南の先の釣り場に行ってみようか。」
「あそこ最近人が増えてるらしいけど、釣れんのかなぁ?」
「そうだなぁ。」
「伯父ぃ最近はどぉ?何かいい釣り場の話聞いた?」
「なかなかないなぁ。」
「今は、館山の方の磯じゃない?」
「やっぱりあっちかなぁ。」

そういって釣りの話で盛り上がっていると、弓弦の指名が入った。

「弓弦さん、吉川様がご来店です。」
「はい。」

入り口のドアに向かうと、大学の同窓生で吉川明海が彼と一緒に来ていた。

「ようこそ、我が城〝mask”へ」
「弓弦、元気そう。」
「初めまして」
「どうぞ、こちらへ。」
「弓弦、今度ね結婚するのよ。で、連れてきちゃった。」
「明海。おめでとう。一番綺麗なころだもんね、今お嫁に行かないと。」
「弓弦は?」
「ないない、そんな浮いた話は」
「弓弦君は彼女は?」
「やだ、あなた。弓弦はね女よ?」
「うそ(笑)」
「明海?旦那さん驚かせるために連れて来たの?」
「あはは、少しはそんな気もあったけど卒業して、
 会ってなかったなぁって思ってさ。」
「あたしは大丈夫よ?とりあえずね。」
「弓弦の男嫌いはすごかったしさ、今はどうしてるんだろうって思って。」
「そんな心配で来たんだ。余計なお世話が好きな明海だ(笑)」

そういう話で来たのは何かしらくすぐったい感触もあり
弓弦はそれでも楽しそうに、話をしていたのを隣で誠は聞き耳を立てながら
気にしていた。
弓弦はその久しぶりの友人の訪問に笑顔を絶やさなかった。
本当に楽し良い時間を共にすごしている。
大学のころの話や、教授たちの話、弓弦のいるここにきている
仲間やサークル連中や出てくる話いろいろと面白く話をしていた。
あっという間に1時間過ぎ、次の所に行かなければと22時過ぎに帰って行った。
明海の後姿の幸せそうなこと。弓弦はあーゆー幸せもあるんだと
目を細めて見送った。自分にはそういう幸せはあり得ないと。
そうしているうちに、また入口の黒服が弓弦を呼んだ。

「弓弦さん、ご指名です。」
「ようこそ、我が城〝mask”へ」
「こんばんわ、弓弦さん。お言葉に甘えて5人で来ました。」
「ようこそ。さぁ、あたしのブースへ
 手の空いている人、7番ブースにお願いします。」
「yes,sir」

そういうと今日は俊哉が横についてくれた。

「俊哉、ありがとう。」
「いえ、勉強させていただきます、弓弦さん」
「初めましてですよね?槙村さん以外は。」
「あぁ、初めまして。槙村がいるグループ・C&Cのリーダーやらせてもらってる
 大宮です。よろしく。」
「えっと、弓弦さん。そしてね、こっちから田中・島崎・大川で、俺。」
「なんかちゃんと紹介しろよなぁ。」
「槙村がお世話になりました。田中あきらです。」
「ひかりちゃんのいとこでしたっけ?」
「えぇ、山本ひかりはいとこです。」
「かわいいよなぁ。ひかりちゃん。」
「ひかりはまだフリーですよ?
 どなたか名乗りを上げていただけると、私が少し楽になるのですが。(笑)」
「まじで?ひかりちゃんはうんといえばの話?いいの?」
「いい年した女ですよ?いつまでも子供じゃないんですから。」
「弓弦さんは?」
「あたしの男っぷりを理解してくれる人でないと無理ですね。」
「はっきり言うなぁ。」
「んじゃ、5人の顔を見てお勧めをお願いします。」
「えぇ。それじゃ、俊哉。」
「はい、弓弦さん。」
「この子は俊哉って言います。去年入ってきた人の中での
 一番の成長株です。以後よろしくお願いしますね。」
「弓弦さんという先輩を持って幸せな僕ですが
 先輩を見習って勉強していきますので、よろしくお願いします。」
「あぁ、こちらこそ。」
「俊哉はあきらさんと一哉さんをお願いできるか?」
「はい、頑張ります。」
「あたしは、大宮さんと大川さんと槙村さんを。」
「俺たちのイメージとかで作るのか?」
「そうね、話している様子とかいろんなデータで想像してね(笑)
 でも一応何がいいかお聞きしますね?」
「俺はお酒弱いんで。」
「僕はあっさりとしたものを。」
「リーダーもあきらもお酒弱いもんなぁ。僕は辛口で。」
「槙村さんは?」
「弓弦さんの、イメージで。」
「じゃ、大川さんは?」
「ドライなのがいいかな。」

そういって聞いた分で話をして決め作り始めた。
その作られているのを見ながら、仕事の話だろうか
少し込み入った話になってきた5人。
しかし出来上がると、話しに割り込んでしまうがと思ったが
思い切って弓弦は声をかけた。

「ではまず、大宮様。
 "tokio・Joe″という本当はメロンのリキュールを使って作ります。
  飲みやすさを出すのに、マスクメロンを裏ごしして使いました。」
「そして僕が作ったあきらさんのは
 "long・island・ice・tea″と言って、すごく飲みやすいのを。
 これはコーラを使っているのでアルコールを感じさせない口当たりで。
 そして一哉さんの。   
 あ。弓弦さんのチルドのレモンとミントを使いましたよ?
 "sea・blizze・cooler″と言ってきりっとすっきりと口当たりを調整しました。」
「そして大川さんの分。
 大川さんてすごくいい男を醸し出していますよねぇ。
 "Alpine・glow″と言って、ブランデーをつかって
 いい香りを楽しんでいただきたくつくりました。
 槙村さんの分、あたしが槙村さんをイメージしたものです。
 "green・devil″ペパーミントが口の中に広がって
 清涼感漂うきりっとした飲み口。気に入っていただけるかと。」
「いろんなとこ見てますねぇ。とりあえず、乾杯ですかね」
「ですね。」
「では、乾杯。」

すると5人顔を見合わせる。なんで?と。
好みがこんなにぴったりなことに、びっくりするばかり。
バーと言う所はこんなにも繊細で心地よくいられるような場所を
作ってくれるから何度も通うんだとそう思ってしまう。
こういう場所だからこそ離れられないんだと。

「弓弦さん。俺惚れたよ。弓弦さん、俺と付き合おうよ。友達からでもいいから。」
「おいおい、圭一郎!ここで口説くのか?」
「てか、お前そっちの趣味あったんけ?」
「弓弦さんまた男って思われてる(笑)」
「そうだよなぁ。口悪いし、男の人と変わらない格好だし。」
「だーかーらー。ここでもその恰好が楽なんだろ?
 だけどさ、下はタイトスカートでもいいんじゃね?もちろん、ミニがいいけどさ。」
「まじで弓弦さんってお姫様なのか?」
「圭一郎。まじ、手ぇ出すなよ?俺の方が答え出てからだ。」
「俊哉、どうしよう(笑)」
「早く弓弦さんが誰かのものにならないから、
 そういういざこざが起こるんですよっ(笑)」
「そうなのかなぁ。(笑)」

いろいろと次のものを注文し、知らず知らずのうちに
5人はほろ酔い加減で24時を回っていた。

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