森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 9

「そろそろ、終わりじゃないの?弓弦さん」
「えぇ、25時閉店ですよ。どうしますか?」
「閉店か。どうしようかなぁ。この店は結構早い時間でし閉店するんですね。
 仕方がないかぁ。最後に、5つ何かお願いしようかな。最後の一つ。」
「どういうのがいいですか?」
「そうだなぁ。弓弦さんの思うままに、作ってくれていいけど。
 なぁ、何かリクエストはあるか?」
「俺はないぜ?」
「俺も、て言うかなにを作ってくれるか楽しみ。」
「弓弦さんにお任せしていいんじゃない?」
「んだな。俺も弓弦さんにお任せで。」
「そうですか・・・・・・・難しいですね。」

そういいながら、一人ひとり顔を見つめた。
見つめながら質問をしていった。

「まず、あたしは何も大宮様たちのことをあまり知らない。
 少しでも満足していただけるものを口にしていただきたいから
 少し質問を。良いでしょうか?(笑)」
「難しくないことをお願いしたいなぁ(笑)」
「それじゃ、それぞれの性格がわかんないじゃないですか。
 答えづらいのであれば質問を変えますが、とりあえず。」
「お手柔らかにお願いしたいな。」
「なぁ、弓弦さん。弓弦さんには僕たちはどんなふうに映ってるんだろう。」
「もちろん、すごく男らしい5人に見えてますよ。まず、大宮様から。」
「僕から?」
「えぇ。まず、大宮様は田中様をどう思われていますか?
 どんな人に見えていますか?」
「直球で聞くなぁ。みんないるところでその質問は恥ずかしいな。
 でも、田中かぁ。年は田中が下なんだけど、しっかりしているよな。
 でさ、はじめっから5人このじゃなくってメンバーじゃなくって
 始め正式に決まったのは僕と田中だったんだ。
 でさ、通達があって呼ばれて会議室で顔を合わせた時
 すごくうれしそうな満面の笑顔でよろしくお願いしますと言われて
 こいつ僕と組むということを心から喜んでくれていると
 そう思ったらすごく僕もうれしくなった。
 たくさんいる研修生の中から組めることを心から喜んだんだ。」
「では、田中様。田中様は初めて大川様と会ってどう感じました?」
「圭一郎?そうだなぁ。こいつ結構ちゃらちゃらしてるように見えるだろ?
 ちゃらちゃらしている割には何に対しても真剣でさ。
 一緒にやるようになって、振り付けとか練習している顔がさ、
 すごくいい顔でさ、男でも惚れる顔になってた。
 初めての顔合わせでやる気あんのかなぁとか思ったりしたけど
 やると決まって一緒に居るようになってさこいつすごく見た目と違うって。
 俺はすごい勘違いしててすまなかったなぁって思ったりした。
 こいつの俺たちへの態度や仕事への真剣さは誰もが認める真面目な努力家なんだよな。」
「では島崎様。槙村様のことをどう感じていますか?」
「えぇ、槙村かぁ。難しいなぁ。槙村が一番最後だったよな。
 僕らの中で一番年下んなんだ。だけどさ、一番大人かも。
 すごい子供が好きでさ子役とすぐ仲良くなるよな。
 ロケの間も、遊んであげたり勉強見てあげたり付き合ってた彼女にも、
 見せたことのない笑顔でさ面倒見がいいんだ。
 それが、最後の最後にマネージャーが連れてきた槙村なんだ。
 連れてこられた来たときは本当に子供子供してたんだけどさ、
 時がたつにつれて男の顔になってきやがってさ5人の中で
 一番の色男になっちまったんだよなぁ。」
「槙村様。槙村様から感じた大宮様は?
 あ、でも槙村様が思う仲間とは?にしようかな。(笑)」
「俺だけ難しくねぇかぁ?」
「そう?(笑)」
「んとなぁ。俺ってさ、この中で一番の若輩者でさいっつも置いてけぼりで
 気が付くと、なんでも先に行ってしまっててそれに追いつくのが
 いつも精一杯だった。でもさ、それに追いつくとか追いつかないとか
 そういう風に考えるんじゃなくって、出来たらいいんだって
 そう思うようにリーダーに言われたんだ。
 そうだよなって思った。一緒にチームワーク乱さないようにすることと
 自分を表現することは別で、自分を言うすべてを確立させてしまえばいいんだって。
 そしてこのチームの中で俺ができるためにはといろいろ考えて始めは
 リーダーや田中のまねで始まって、でも違うって思った。
 島崎についてっていろいろとやんちゃなこと教わったし
 圭一郎とは気が合うし歳が一つしか変わらないんだ。
 だから、いろいろ話をしてても共通なこと多くて楽しかった。
 だけど、俺のやることなすこと迷惑かけたなぁ。
 いろいろとみんなに迷惑かけながらもさ、前に進むことができた。
 それにやんちゃして悪さしていたことすまないと思いながらも、
 そんな俺を悪いことは悪いと怒ってくれるし
 成長した分は成長した分としてきちんと評価して褒めてくれたんだ。
 みんながあっての俺なんだって、そう思った。」
「みんな思っていることはそんなもんじゃないでしょう?」
「そうなのかなぁ。」
「仲間に対しての気持ちは言葉にはできないからさ。あたしだってそうだもの。
 ここの人がいるからあたしがいて誠さんがいて健がいて
 そしてオーナーがいて。貴志も。
 で、ひかりがいて叔母がいて叔父がいてそして西村さんがいる。 
 こんな自分でも、必要としてくれている人がいるから
 ここで存在することが出来るんだと思ってるんだ。
 だから、これからもあたしは男でもないし女でもないし。
 ただ存在する`弓弦´という人間ということ。
 言葉に出せる気持ちは本当の気持ちを表せてはいないだろうから
 思って感謝して自分の時間を作っていかなければいけないと
 自分でそう思っている。」
「難しいこと弓弦さんは考えているんだね。」
「そういう風にいろんなことを考えないと、
 これまでに起こった事にきちんと向き合えない。
 だからこれからは逃げずに自分自身と向き合って行くため
 親類と仲間以外では一人。これまでも、これからも。」

そういいながら弓弦の手もとは忙しく動いていた。

「はじめに大宮さんに。
 《Singapore・Sling》と言って、のRaffles Hotelのオリジナルを。
 田中様には
 《Piña Colada》はパイナップルとココナッツミルクを使った南の島をイメージしたもので。
 そして、島崎様。
 《apple・collins》さわやかな甘さのお人柄に見えましたので。
 大川様には
 《Matador》を。パイナップルを使った闘牛士のイメージのカクテル。
 槙村様には
 林檎を使った《applemint・julep》です。
 5つのカクテルはパイナップルを使ったのが3つ
 林檎を使ったのが2つ、パイナップルは`完全無欠´で
 林檎は`誘惑´です。
 2つの意味を合わせた時のあたしの思いは、
 C&C5人で「完全無欠の仲間」ってところですかね。
 だって、世の中の女性を虜にしているでしょう?
 あたしたちはそれがうらやましい。この部屋にはないものだから。
 どうですか?お気に召されました?」
「ねぇ。弓弦さんはどうしてそう思われるんですか?」
「だって、ねぇ。」
「だって?」
「これから皆様は夢の中に行かれます。ただでさえ世の中の
 女性を虜にし夢の中に連れてってくださるのだから
 自分たちも、幸せな夢にいざなわれなければいけないでしょう?」
「ということは?」
「明日に差し支えないように、ぐっすりと。
 あまり夜更かしをされませんように、まっすぐにご帰宅くださいね。」
「お気遣い、ありがとう。」
「まだまだこれからガンガン勉強しなければいけません。
 誠さんや西村さんや皆さんを観察して自分を磨かなければいけません。
 これからもご贔屓に。そして、ひかりをよろしくお願いしますね。
 さぁ、閉店です。夢の中へいざなわれてください。
 taxiを手配しますね。」
「弓弦さんは帰るの?」
「えぇ、自宅に帰ります。」
「俺たちは、このまま家に帰らなければいけないのか?(笑)」
「そうですね、ひかりからのメールで朝早くからロケがあるから
 早く返してくださいねって。お酒が残らないようにって(笑)」
「おしゃべりめ(笑)」
「そういう風に言われるということは、
 そういうことをしたことがあるということではありませんか?
 だめですよ?仕事は仕事です。
 あたしはしっかりと仕事をこなすあなたたちの後姿が好きなんですから。」
「言われたなぁ。さぁ、帰って休もう。明日は早いからな。」
「あぁ。そうだな。」
「今宵も楽しい時間をありがとう、またお越しください。」
「こちらこそ、お休み。good night」

そういってお店の前で少し話し込んだ6人はそれぞれの部屋に帰宅していった。
そんな少し蒸し暑い夜が明け、朝を迎えようとしていた。
次の日はひかりと約束していた湘南へ遊びに行く日だった。
弓弦も休みをとり、ひかりと一緒に湘南で一日遊ぶと約束をしてたし
この日だけはひかりと二人で遊びに行くことを楽しみに朝から早く起きたのだ。
確かその日は、誠が言っていたチャリティーコンサートについての
話し合いがあるはずだったことを忘れて弓弦は休みだけ頭の中にあった。

「おはよう、ひかり。」
「おはよう弓弦。今日は大丈夫?」
「あぁ。大丈夫。ひかり準備は?」
「昨日のうちにしてたから、OKよん。」
「えっと今は7時前か。道路混まないうちに出かけよう。
 海開き初日に二人で泳ぐのは恒例だしね。」
「弓弦は水着は?」
「もちろん、Pāreuももったし大丈夫。」
「んふふ。女な弓弦と泳げる、それがすごくうれしい。」
「まったく。水着だけはごまかせないでしょ?
 仕方なく思ってるんだから突っ込まないで。」
「それよりも、今日は本当に二人だけ?」
「ひかりとあたしと二人だよ?」
「だってさ、弓弦の女っぷりも誰かに見てほしいんだけどなぁ。」
「あたしは嫌よ?」
「もったいないなぁ。」
「もぅ。さて、行こうかな。」
「はぁい、行ってくるねぇ。父さん母さん。」
「気を付けて行っておいで。弓弦、気を付けて。」
「はい、んじゃ。」

そういって二人は車に乗り込み荷物を後ろに積んで出発した。
26時には布団に入って、まだいつもなら起きているはずもない時間。
それでも弓弦は年に何度かしかないひかりとのお休みを楽しむために
今年もひかりと一緒に出かけて行った。
湘南の海は弓弦の住んでいた長崎の海とはかけ離れた色だけど
弓弦は小さいときから海が好きで、父がいた時は父と
母が手の空いた時は母と、夏になると泳ぎに行くのが好きだった。
思い出があると言えば、懐かしく楽しく幸せな過去。
だからひかりと一緒に海へ泳ぎに行くのはすごく楽しいと思っている。
そして、いつもは女とみられることが嫌いな弓弦はこの時だけは
水着を着て肌を焼きたくないと水着から見えているところに
日焼け止めを何度も塗り直しと、女の一面をのぞかせる。

「弓弦!行こう。」
「気を付けてよ?おぼれたりしないでね?」
「わかってるって、ていうか、ほら一緒に。」
「あぁ。待って!待ってったら!」
「弓弦!」

二人は、無邪気にはしゃぎながら海へと駆け込む。
周りの人の目も気にせずに。やはり弓弦の背の高さは目を引くし目立つ。
一方ひかりは、そこら辺にいる人たちよりも弓弦に似て美人なため
男の人たちの視線を釘づけにしてしまう。
二人揃うと、座っていても花が咲いたように視線を集める。
誰もが声をかけたくてもかけれないぐらいの注目度合。
少しすると一緒に遊ぶ仲間ができた。ビーチバレーをして午前中を楽しむ。
お昼はその遊んでた仲間と一緒に海の家で食べ、また海へ。
今回は水上バイクの貸し出しまで海の家がやっていたので
弓弦はコーチまで頼んで水上バイクに挑戦。
ひかりはそれを横目には仲間としゃいでいた。

「弓弦さんはのみ込みが早いですね。バイク転がされているのだから、
 きっと飲み込み早いんですよ。僕のコーチはもういりませんね(笑)」
「本当ですか?でもちょっと不安だなぁ。」
「大丈夫でっすって。自信持って。」

そうして水上バイクを楽しんでいると、ひかりが見当たらなくなった。
すると、少し離れたところでバタバタと波が暴れている。
砂浜からレンジャーが海に駆け込んでいた。
弓弦はその波の暴れるほうを目を凝らしてみると手だけが見える。
もしかして見えなくなったひかりだとは思いたくないが
ひかりじゃないことを祈りながらも水上バイクのエンジンを切り
波間を見つめる。やはり誰かがおぼれている様子だ。
レンジャーでは間に合わないと、思わず海に飛び込みその場所に向かう。
レンジャーよりも速く泳ぐ弓弦は周りを驚かせた。
水上バイクのコーチもその速さにびっくりだった。
弓弦はその波間に着くと沈んでしまったのか見当たらなくなっていた。きっと流され沈んだんだと思われたその人を探した。
時間が過ぎると危ないと、早く見つけないとおぼれてしまうと思って
潜る、潜ってその人を探した。水深は3mほどあるだろうか。
中学生ぐらいの女の子がふわふわと海の中を漂う。
弓弦は緊急を要すると思い急いで、その女の子を抱き寄せ浮上。
小舟で近づいてきていたレンジャーの浮き輪をつかみ 女の子を抱えた
その状態で浜の方に引っ張られていった。
女の子は意識のない状態で、浜にあげられると弓弦は人工呼吸をした。
多感な女の子の人工呼吸はごついレンジャーがやるとちょっとなぁと気を使ったのか
あたしがやりますといい、レンジャー顔負けの慣れた適格なやり方で。
女の子は5分もかからないうちに息を吹き返し、気が付いた。
目の前に弓弦とかレンジャーの人たち、その後ろに友達の顔が見えたのか
怖かったと弓弦に抱きつき号泣する。
弓弦たちは、`怖かったね、もう大丈夫だ´と頭をなでて落ち着かせ、
泣きながら話すことを聞いてあげとりあえず病院にと運ばれていった。
今年の海開きで、水上バイクと人命救助と熱い情熱の夏の始まりを感じた・。
女の子が運ばれていった後、海の家からひかりが出てきた。
一緒に居た人が具合が悪くなって海の家で看病していたらしいのだ。
それはそれで大変だったねとひかりに言い、帰るための準備をひかりとしていた。
そんな時、警察が弓弦を探し訪ねてそこへ来た。女の子のご両親が弓弦を探していると。
お礼を言いたいからと言っていると伝えられ弓弦はどうしようかと悩んだけれど
都内まで帰らないといけないし、人として当たり前のことだから
気にしないでと伝えてくださいと話しした。
浜から遠いと判断し、水上バイクを止めて飛び込みそしてその泳ぎの速さ。
女の人にしたらすごい勇気と行動力だと褒めていた。
もちろん警察の方からは弓弦の名前、住所、連絡の取れる電話番号などを聞き
そこからは立ち去って行った。
海の家の人たちも弓弦の活躍がすごくうれしかったのか帰る間際まで話しかけていた。
海の家の店主も`うちの息子にゃできないよ´とかすごいはしゃぎようだった。
ひかりもそういう風に活躍した弓弦が自分の従妹だということを
自慢するかのように弓弦から離れないようにしている。
帰り道少し疲れた二人は、のんびりと帰るように話をしていたのだが
やはり少し眠い弓弦は途中のパーキングで車を止めて車で寝ていた。すると電話が鳴る。
ひかりもうとうとしていたために弓弦もひかりもびっくりして起きた。

「ごめん、弓弦さん?」
「あ。はい、原田です。」
「俺。槙村です。今大丈夫ですか?」
「弓弦さん、今ニュースで映ってたぞ。」
「え?なんで?」
「海開きした湘南の浜で人命救助したんだって?」
「なんで知ってるの?」
「だって今、ニュースで流れたもん。」
「あそこにカメラなんてあった?ねぇ、ひかり。カメラなんてあったっけ?」
「気づかなかったけど?あったの?」
「槙村さんがそういうんだけど、なんだか・・・・。」
「それがさぁ、ばっちり映ってた。ひかりちゃんと弓弦さんの水着姿がさ(笑)」
「やだなぁ。なんで映したんだろう。」
「でもすごい、弓弦さん。すごいって!」
「なんで?命にかかわることよ?助けるために動くなんて当たり前じゃない。」
「映ってたのはさ、弓弦とその周りとレンジャーでさ。
 レンジャーのインタビューがはいって、それがまたべた褒めでさ。
 警察もさ、さっきそれに対して感謝状がどうとか言ってたぜ?」
「あ・・面倒な(笑)」
「面倒がるなさ。今度は俺たちと泳ぎに行こうよ。来週、沖縄に行くときにでもさ。」
「それは無理。仕事で行けません。」
「大丈夫、秋山さんとかも一緒だし社長が今日弓弦の所の
 オーナーに掛け合いに行ってくるって言ってたからさ。」
「まじで?やだなぁ。」
「でも今日はほんとうに弓弦さんお手柄だったな。友人として、鼻が高いよ。」
「そういってもらえるとうれしいかな。」
「今どこにいるの?」
「今は、ひかりここどこだっけ?」
「えっと高速道路のパーキングだけどどこだっけ?」
「あ。どこかわかんなんいや。でもパーキングには違いない。」
「うちに寄ってよって言えないなぁ。ひかりちゃんも一緒なんだろ?」
「一緒じゃないと危ないからね。」
「またまた。気を付けて帰れよ。」
「ありがとう、また。」
「あぁ、またな。」

コメント

ログインするとコメントが投稿できます

まだコメントがありません