森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 12

「おはようございます。」
「おはよう弓弦。」
「時間通りだな。でもお前その恰好(笑)」
「だめっすか?来れ通勤のいつもの格好なんだけど。」
「だめとは思わないがそれはちょっとな(笑)」
「やっぱり駄目?でも、もう遅いです。」
「仕方ないなぁ。んじゃいくか。」
「はい。」

そういってM‘scompanyに乗り込んだ。
もちろん入口にはひかりがいる。

「弓弦?ここまで入ってくるの珍しいね。」
「ひかり。はい、お弁当。今日はひかりの大好きなエビを入れておいたよ。
 今日は和風弁当。少し多めだからゆかりさんたちとも仲良くね。」
「ありがとう、楽しみに食べるわ。で?今日は?」
「おはようございます。今日は山本社長に呼ばれてきました。」
「誠さんも一緒だったんだ。」
「なかなかお店以外の場所では会わないもんな。
 今日はこちらの社長と打ち合わせなんだけど。」
「はい、伺っております。どうぞこちらに。」

そういわれて奥の部屋に案内される二人。
わかっている人間には、それなりに見えるのだろうけど
知らない人には男2人。なんだろうという怪訝な顔で二人を見ている。

 `コンコン´

「社長、相原さんと原田さんが来られました。」
「どうぞ、こちらに。」
「おはようございます。」
「あぁ、おはよう。」
「紹介するよ。まず、相原誠君。そして受付嬢の従妹にあたる原田弓弦君。」
「相原です、よろしくお願いします。弓弦、サングラスとって。」
「原田弓弦です。よろしくお願いします。」
「あぁ、翔太。じゃなくて弓弦君?」
「あはは。弓弦君じゃなくて弓弦さんだ。」
「メンバーたちの自主練に少しやる気と闘争力を持っていただくために
 参加だけのため連れて行く。この2人のほかにあと3人いるが。」
「そうなんですか?」
「君らはそれに参加だけしてくれたらいい。それが条件だよ。
 しかし、うちの目が光った場合引き抜きがかかるから(笑)」
「社長、それは聞いてません(笑)」
「弓弦君たちには話してないなぁ、というか話せないな。」  
「あたしが知りたいのは、社長。」
「なんだ?」
「誰が行くのかということなのですが。」
「副社長と秋山君とC&Cの5人、悠太と翔太だったか?」
「本当ですか?C&Cの方は全員?」
「そして君らは5人、誠君が言うには銀座のチャリコンに出るんだそうだな。
 それの練習を見てもらうという条件で一緒に同行というのを
 飲んでもらった。取り合えず公平な取引と思うが。」
「10日間のうち、2日でステップなどの基礎をたたき込む。
 で、残りの5日間でふりを覚えてもらう。2日間あるがそれはお休みだ。
 世の中は週休2日だろ?」
「完詰じゃないんですね、良かったね弓弦さん。」
「なんでよかったんですかっ。」
「ん?なんでって、泳ぎに行けるじゃないか。」
「やぁですよ、日焼けしたくないですもん。」
「この間のを見せられていると、多分泳がないとは言えないように
 仕向けられると思うけどな。」
「やだなぁ・・・・・」
「とりあえず、社長。弓弦が気にしているのは泊まるところなのですが」
「わが社の寄宿舎だよ?駄目かね?」
「もしかして社長。男ばっかり?」
「あぁそうだよ?」
「・・・・・・・・・・・・社長、あたし別にホテルとりますから。」
「なぜだ?君にはナイトの誠君や貴志君がいるじゃないか。」
「あいつらも男です。ナイトじゃなくって野獣です(笑)」
「おいおい(汗)ナイトだろ?ナイト!」
「まぁまぁ、うちの子らも弓弦君狙ってるのはいるらしいが
 一番は私だ。私が一番あの店からこの会社に君がほしんだがな。
 君はタレントは嫌と言っている以上無理強いはしない。
 それが、男だからな。」
「ありがとうございます。社長。」
「まぁ、寄宿舎の方に泊まれるように弓弦君の部屋は私がどうにかしよう。」
「お前も我儘だなぁ。そのわがままさはお姫様だぞ?」
「あはは。しょうがないじゃん。」
「とりあえず、顔合わせは済んだ。あと細かいことは二人と詰めてくれないか。」
「はい、わかりました社長。では。」

そういいながら、別室に移動し沖縄行の詰めを話した。

「あのさ、誠さん。」
「ん?」
「少し心配だ。」
「なんでさ。」
「無事に帰れるかがさ。」
「どういう意味?」
「そういう意味。」
「大丈夫さ、言ってたろ?ナイトだぜ、ナイト!」
「それが一番不安だ(笑)」
「お前、水着忘れんなよ?」
「詰め込みだろうから、休まず練習だよ、きっと」
「それは絶対却下!ダイビングもしたいし、沖縄だぜ?
 海に行って楽しまないとやる気ないぞ。」
「あたしは、焼くのが大嫌いだから海だけは却下さ。」
「そういうなよぉ。お前以外はみんな楽しみなんだからさ。」
「沖縄が?海が?」
「お前の水着が(笑)」

そう冗談を言いながら、話が始まるまで冗談を言いながら話をしていた。
すると少し??と思ったのか、弓弦がこれはお願いなのですがと
口を開いた。

「あの、秋山さん。そして誠さん。
 私事で少しお願いがあるんですけど、いいですか?」
「なんでしょう?」
「あの、せっかく日程をとって沖縄まで行くのだから
 10日間のうちの一日だけ早く沖縄を後にしたいんです。
 で、一日は有給を別にとるので一日遅くこっちに帰る予定となるのですが
 長崎に立ち寄りたいんです。恩師にお礼を言わないとと思い
 もう2年がたってしまいましたから。」
「すると、原田君だけ一日早く沖縄を出立し
 みんながこっちにつく日の一日後に帰ってくるんだな?」
「大丈夫か?一日だけしか練習する時間ないぜ?」
「誠さん、その分がんばるから。」
「そうかぁ。」
「でも、一日早く引き上げて長崎によることは誰にも言わないでくださいね?」
「なんで?」
「ついてこられると嫌だからさ。」
「じゃ、俺は時間あるからついてこうかな?」
「秋山さんまで。仕事してくださいね。あたしの私用ですから。」
「つまんないなぁ。でも、、水着は忘れないように。」
「秋山さんまでそういうこと言っちゃだめですよ。目論見が(笑)」
「でもさ、あたしとか誠さんが秋山さんたちの所の宿舎に泊まったら
 まずいんじゃないですか?」
「そうだなぁ。でも、デビュー前の研修生ってことででもいいんじゃね?」
「そしたら宿舎の前の浜で遊べるし。ね。加藤主任。」
「そうですね。とりあえず、相原さんたちのスケジュールと
 原田さんのスケジュールは一部変えますね。
 で、こっちから行くときは一緒に行きますか?」
「迷子になると困るのでご一緒できるならそのほうが。」
「では、行きは一緒でチケットが取れ次第連絡を入れますね。」
「向こうでのことはお任せします。
 やはり弓弦は女なのでそれだけ気を付けていただけたらそれでいいです。」
「そうですよね。男と女の扱いの違いは仕方のないものですものね(笑)」
「あの、秋山さん。」
「ほかの人は男だからいいですけど、あたし女ってわかりますよね、きっと服装で。」
「わからないように努力する?」
「胸は隠せませんし、夏だし。」
「男ものっぽいジレを羽織れば?」
「弓弦、さらしまけっ(笑)」
「誠さんったら他人事だと思って。」
「だって他人事だろ?努力努力(笑)」
「もぅ。」
「その長い髪も多分なぁ。暑いぞ?」
「やっぱり切り時かなぁ。ここの所、切ろうか切るまいか迷ってたんだよなぁ。」
「それなら今下の階にメイクさんたちがいるから切ってもらう?」
「いいんですか?」
「多分おもちゃにされるがな(笑)」
「その分ただでしょ?」
「我慢できる?」
「我慢・・・・・・努力します。」
「んじゃ、加藤主任。下の部屋に連絡入れて弓弦さんを下に連れてって。」
「はい、わかりました。いいんですか?こんなに長いのに。」
「切りに行くのが面倒だったし、美容室に入れないし(笑)
 この数年、毛先の手入れぐらいしかはさみいれなかったんで
 この際いいです、切ります。」
「弓弦の男っぷりが上がるのを見れるなぁ。」
「待ってな。誠さん(笑)」
「その間、細かいことを決めましょう。そのうちmartinのPVを用意しますから。」
「じゃ、弓弦さん行きましょう。」
「えぇ。」

そういうと部屋を出て、弓弦は加藤さんと一緒に下の階へ。
メイクさんたちが集まってる部屋に入ると、うるさくて。

「えっと。薫さーん、薫さんいる?」
「はいっ!こっちこっち。準備OKよん。」
「んじゃ、こっち座って弓弦さん。」
「すごーい、すごく長いくるくる。もったいないわ。」
「原田さんいいの?薫さんの顔が獲物を狙ってる顔だわ。」
「こんなに長くてきれいでこれにハサミいれるのすごくウキウキ。」
「短くお願いします。」
「薫さん、原田さんの希望は男っぷりを上げてほしいとのこと。
 よろしくお願いしますね。」
「いいの?本当に、思いっきり。」
「えぇ。思いっきり行ってください。」
「でもすごく翔太君に似てるのね。翔太君にする?
 短いけど襟足とか前髪・TOPを長めにして。」
「翔太さんになっちゃうと、外歩けなくなりませんか?」
「思いっきり見せたほうが不信感はぬぐえますよ?」
「似合うかなぁ。」
「大丈夫。髪の色をアッシュにしちゃいましょう。それで区別がつくし。」
「んじゃ、お願いします。」

そうやって、弓弦の髪はメイクさんたちの中でも一番の人気の薫に
切ってもらうこととなり、ハサミを入れ始めた。バッサリと。
思いっきり。周りにいるメイク仲間も、あーだこーだと
口を挟み楽しい時間が過ぎていく。
加藤はそのまま弓弦をその部屋に置いて自分の仕事をしに違う場所に移動した。
しばらくして、迎えに行くとみんな衣装さんまで考えてるし
弓弦さんはと尋ねると、化粧までされて本当に翔太に。

「加藤さん、どうしたんですか?」
「いや、真面目に翔太君がいると思っちゃった。」
「鏡を見せてくれないんですよ。」
「鏡を見せたら弓弦さん卒倒しちゃうわよ?」
「まじで?」
「もうすぐ終わられるから、さっきの部屋に行きましょう。」
「なんだか不安だなぁ。サングラスは?あたしのサングラス。
 サングラスしないとここから出れないんじゃない?」
「そうとも言いますかねぇ(笑)」
「そこまでやったんだ。」

そう話しながら部屋を移動する。ドアが開くと秋山も相原も固まってしまった。

「まじか?」
「おまえ。弓弦。真面目に弓弦か?」
「えぇ。」
「加藤、止めなかったのか?」
「弓弦さんがやっちゃってくださいって言ったら
 薫さんたち思い存分やっちゃってましたけど(笑)」
「鏡は?鏡は見たか?」
「いえ、まだ見せてくれないんですよ。」
「ほれ。」










弓弦は愕然とした。真面目に翔太だ。








「まじで?」
「あぁ。やられたな、弓弦さん。」
「ここまで。」
「どうしよう。まさか・・・・・。」
「やっちゃったもんは仕方がない。弓弦さん、頑張ってな。」
「PVも翔太の所を気合い入れて練習な。」
「いいじゃん、沖縄。翔太いるし一対一で練習して。」
「そんなぁ。」
「開き直りだ、開き直り。いいじゃん翔太だもん。」
「切っちゃったんだもんなぁ。延びるまでの我慢かぁ。」
「エクステつけちぇば?」
「んな、女々しい。」
「おぉ、男らしいねぇ。」
「なんだか複雑だわ。お店に出ても帽子かぶろう。」
「そのまま帰るわけじゃないし。買い出しは誰か連れていけ。」
「しょうがないもんな。なれるまでの我慢か。」
「とりあえず、今日はそれになれる心意気で。」
「秋山さん。そこで何笑ってるんですか?」
「だってさ、翔太が見たらと思うとさ。そう思うとおかしくってさ。」
「誠さん、話は終わりました?あたし早く帰りたいんですけど。
 ここに居たら次は誰がドアの外に立ちふさがるかが心配。」
「あははははは。お前自分がそうしたんだろ?もうあきらめれさ。」
「そうなんだけどさ。」
「ひかりさんだけはお呼びしますか?」
「そうだな、加藤。受付嬢・ひかり殿を(笑)」
「ひかりに?秋山さん、あたし裏から帰ります。呼ばなくてもいいです。」
「遅いな。」
「ゆ?弓弦?」
「あ。」
「弓弦なの?弓弦・・・・ばっか。お任せにしたらそうなるって決まってるじゃん。
 弓弦本当におバカ(笑)」
「ひかりまで。」
「仕事に行こう弓弦。とりあえず、それになれなきゃな」
「んじゃ。帰ります。夜があるので買い出しに行かなきゃ。」
「では、よろしくお願いしますね。」

そういって部屋を出てすぐにヘルメットをかぶり表に向かう。その日の仕事のために。
後ろで秋山さんと加藤が笑っているのが聞こえる。
エレベーターを降りると、受付にいるゆかりさんらもこっちを見ている。

「弓弦さん。もうお帰り?」
「あぁ、ゆかりさん。買い出しがあるからさ。」
「今日はうかがってもいいかしら?」
「えぇ、どうぞ。お待ちしております。」
「じゃ、夕飯食べ終わる頃の時間を後でメール入れますね。」
「はい、承知しましたお姫様(笑)」
「んじゃ。」
「ねぇ弓弦さん待って。」
「なんでしょう。」
「それ取って。」
「え?」
「ヘルメット!」
「だめです。今日のお楽しみということで。」
「今は来客もいませんし、ねぇ。」
「一瞬だけですよ?」

そういってヘルメットをとって、即かぶった。

「弓弦さん。髪の毛、寝起きの翔太君みたい(笑)」
「切ったからには仕方がないです。なれるまで我慢しますよ。」

そういって社屋を出て帰って行った。

コメント

ログインするとコメントが投稿できます

まだコメントがありません