森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 30

「お前の中にはいつも西村さんがいる。あの人が一番なんだろう?
 いつもいつも何があっても一緒に居たんだもんな。
 だけど、割り込めないわけじゃない。間に割り込めて
 俺にもチャンスがあるのであれば、そのチャンスを俺にも欲しい。」
「槙村さん自身は好きよ。こんなあたしを理解して愛してくれようとしている。
 だけど、西村さんとは比べられない。そういうんじゃない。
 一緒に居ること自体が普通なのよ。
 離れていると、すごく不安で怖くて泣いてしまいそうな時もある。」
「俺だって弓弦を一人にはしない。
 たとえ海外での仕事になれば弓弦もつれていく。
 ひと時も離れたくあるもんか。不安な夜を過ごさせはしない。」
「渉さん。気持ちはうれしい。だけど、まだ。違うの、全く違うのよ。
 一線を越えてもまだ超えていない気持ちがある。
 愛してくれていることにこたえられるようなあたしじゃない。」
「今は、いい。俺よりも西村さんが心を占めているんだろうし
 あの人に勝てるかどうかそれは弓弦次第。
 でも俺が弓弦を幸せに愛する気持ちは西村さんにも負けてない。
 だから、誰にも負けない気持ちがあるから、
 そう急いで弓弦の答えを聞こうとはしないさ。」
「こういうことになって、それでもまだごねているあたしを
 愛してくれてありがとう。それだけはうれしく思うから。」
「そう思ってくれてればいい。いつかは答えとなるだろうし。」

下の階へ降りた。
二人一緒にシャワーを終えると、またリビングでソファにゆったりと座り
TVを見ている槙村。PCを開き、メールのチェックをしている弓弦。
そうしていると弓弦の携帯のほうにメールが来た。
 
 `お久しぶり。弓弦もう帰ってきたのか?
  帰ってきているのであれば明後日の打ち合わせしたいんだけど´

そう西村からのメールだ。

「そうだった。連絡しなきゃ、西村さんに。」
「なんだっけ?」
「チャリコンの練習というか打ち合わせ。」
「あぁ、そういえば弓弦西村さんのにも参加するんだったなぁ。」
「うん。何をするつもりでいるんだろう。」
「会場はそんなに広くないんだよな。」
「ビルの谷間にある公園なんだよね。」
「でも西村さんが一番だとすごい人ごみだろうな。」
「それは内緒にしてあるんじゃない?内緒にしてないと集まる人半端ないし。」
「俺は取材だけだから行こうかな。」
「来るの?」
「だって西村さんと弓弦のステージ見たいもん。」
「来なくていいよ。大騒ぎになる(笑)」
「いいじゃん、西村さんにもそう伝えてよ。」

槙村は本当に来るつもりでいるみたいだ。
TVを見ている槙村を横目に西村へ電話を入れる。

「もしもし。弓弦です。」
「あぁ、なんだか久しぶりだな。沖縄はどうだった?」
「大変でしたよ、暑いし罠にはめられるし(笑)」
「でも秋山君の話しだとすごく頑張ったんだってな。
 完ぺきだってすごい褒めてたぜ?」
「秋山さんとそんなに仲良かったですか?西村さん。」
「ちょくちょくな。電話はするかも。気が合うってものすごく楽しいしな。」
「で?西村さんは何をするんですか?」
「それなんだが、メンバーのスケジュールが合わなくてさ
 ステージに上がるのは俺とお前だけ(笑)」
「なんで!(笑)なんで?それってすごく緊張するじゃないですかっ!」
「大丈夫さ、弓弦とだもん。俺は平気だけど?」
「ということは西村さんが歌って、あたしがピアノってこと?」
「いや、俺が歌って弓弦も一緒に歌うかピアノってことだな(笑)」
「やれる曲ですよね?もちろん。」
「だから、ちょっとね。打ち合わせって思ってさ。」
「これからですか?」
「弓弦仕事は?」
「あたしはチャリコン本番までお休みで。明日の夜に一通り通し稽古する予定。」
「んじゃ、これからうちに来る?リハーサルかねてさ。」
「西村さんにお土産もあるし。でも今お邪魔なやつが横にいるんですよ。(笑)」
「誰?」
「沖縄からストーカーのごとくついてきた人が約一名(笑)」
「あぁ、秋山君が言ってた。槙村君だっけ?」
「そうそう。空港から送ってもらってきたんです。」
「んじゃ、一緒に来れば?」
「それがですねぇ。翔太君と圭一郎さんが来るってさっき言ってたんですよ。」
「おいおい(笑)弓弦んちは、隠れ家か?(笑)」
「助けてくださいよぉ、ひかりが帰ってきてくれたらひかりも加わるんですよ?」
「そりゃ大変だ。弓弦はそこにいたら?こっちに移動するときっとこっちが大変だ。」
「大変なものをそっちにもってっちゃだめですか?」
「いや、だめだろう(笑)どうせみんなで呑んで騒ぐんだろ?
 俺も面倒な人になろう、これから準備してそっちに向かうから。」
「えぇ?西村さんも来るの?面倒が増えちゃうじゃないですか。」
「いいじゃんひとりぐらい。んじゃ、譜面持っていく。」
「んもぅ。西村さんまで。とりあえず待ってますよ(笑)」

部屋を離れに移動したとたんにこれか?と弓弦は頭を抱えた。
もしかしてあたしの家はタレントどもの隠れ家になってしまうのか?
そんな楽しく恐ろしい不安が頭をよぎる。

「なんだって?西村さん。」
「チャリコンのリハーサルと詰めを兼ねてこれからこっちに来るってさ。」
「おぉ、弓弦と西村さんのセッションを生で聞けるんだ。」
「そうとも限らないけど。」
「でも、呑み物足りないんじゃない?圭一郎も来るし翔太も。
 ちょい圭一郎に電話する。何か食材買ってきてもらおう。」
「飲み物はあるんだけど、冷蔵庫がほぼからっぽだから。
 適当にお願いしてくれたら助かるかも。」
「OK。」
 
`tururururururur・・・・・・・´

「おぉ、圭一郎?今大丈夫か?」
「おぅ。今5人とも一緒さ。」
「収録終わったん?」
「終わったらしい、みんなこれから帰るってさ。」
「翔太連れてくんの?」
「あぁ、本人横にくっついてるぜ。置いてかれないように。」
「今から弓弦と西村さんがさ、
 弓弦んちでチャリコンの打ち合わせと音合わせとするんだって。」
「すげぇ。俺楽しみ。
 `翔太。これからリハだって、弓弦さん。´
 `まじで?俺と大川さん超ラッキーじゃん。急いで行くって伝えて´
 だそうだ。まぁ増えるかもしれんが(笑)」
「増えるよなぁ。楽しみだもん。でさ、圭一郎。
 お願いがあるんだが、食べるものがない。飲みもんはあるんだが、食べもんがない。
 10日間も留守にしてたからさ。で、何か食べるもん見繕って買ってきてよ。」
「お任せでいい?俺焼肉したい、弓弦さんにいいか聞いてよ。」
「ちょっと待ってな。
 `弓弦さん。ここで夜飯焼き肉していいかって聞いてるけど´
 `片づけをきちんとするならいいよって伝えて´
 良いそうだ。その代り、きちんと片づけなって。」
「OK。んじゃ、どこだっけ弓弦さんち。」
「ここは狛江だったよな?弓弦。」
「あぁ。狛江の慈恵会医大第3まで来たら電話をって。」
「わかった。近くまで来たら電話する。ちゃんと迎えに来てな?」
「はいはい(笑)」

電話はそれで切れたが、またすぐかかってきた。

「俺の車は5人乗りでさ。」
「それがどうした?」
「んでさ。俺以外では4人しか乗れないよな?その場合。」
「あぁそうだ。」
「でさ。今、martinと俺とで協議しているんだが」
「面倒だなぁ。」
「1人乗ることができなくてさ、もめてんのさ。」
「で、何がいいたんだ?」
「お前の車で来ても迷子になるから弓弦にお迎え頼みたい。」
「俺が弓弦んちで留守番なのか?」
「お前が来ても迷子になったら一緒だろ?」
「なぁ、弓弦。」
「何?」
「西村さんはここ知っているの?」
「あぁ、この家は知ってるよ。」
「そしたら弓弦さ、今圭一郎たちアクアホールにいるんだけど迎えを頼んでも大丈夫?」
「あ、道がわからないんだよねぇ。でもそれだけじゃなくって?」
「Martin全員来たいそうだ。」
「まじですか(笑)まったく、槙村さん余計なこと言うからそういうことになるんだって。」
「圭一郎。一人は捨てておけ(笑)」
「それ可哀想じゃない?いいよいいよ。あたしが迎えに行けばいいんでしょ?」
「圭一郎、弓弦迎えに行くって。アクアホールの正面玄関でいいんじゃね?」
「そうだな、裏口はいくつかあるし正面だとわかりやすいか。」
「目立つからその前の駐車場でどうだ?」
「んじゃ、圭一郎さんの車は何?」
「白のvents。numberは**-**。」
「わかった、一人だけあふれるんならバイクで行っても大丈夫だね。」
「弓弦バイクで行くって。圭一郎。」
「一人あふれたやつが超ラッキーじゃん。」
「やっぱ、危ないから車で行く。」
「弓弦さんの車は何だ?」
「BMW 120i カブリオレの黒。コンバーチだからすぐわかるさ。」
「んじゃ、買い物は?買い物はどうするんだ?」
「面倒だな。帰ってきてから西村さんと合流してから代表が行けばいいじゃん。」
「そうしようかな。」
「弓弦、準備は?着替えんの?」
「ちょい上に羽織ってから行く。30分もしないで着くからって伝えて。」
「圭一郎。30分ぐらいで着くそうだ。大人しくまってな。」
「おぅ、わかった。んじゃな。」

夏の陽射しを避けるための長袖を羽織り、ジーンズをはき鍵を持つ。
弓弦のその姿は女には見えないなと笑いながら槙村は見ていた。

「んじゃ、迎えに行ってくる。西村さんが来たらそう言って。
 決して余計なことはしゃべらないように。」
「わかった、 余計なことはな(笑)」
「なんだかなぁ。槙村さん、あたしをがっかりさせないでよ?」
「はいはい(笑)」

そういって弓弦は迎えに行った。それから少ししてチャイムが鳴る。

 `pinpon pinpon’

「おぉ、西村さんこんにちわ。」
「あぁ、槙村さん。こんちわ、弓弦は?」
「いま、圭一郎たちを迎えに行きました。20分ぐらい前かな?」
「そっか、どれぐらいで帰るって言ってた?」
「どうだろう。アクアホールなんですよね。
 乗るやつらがもめなければ、あと30分かからないぐらいですかね?」
「もめるほど来るのか?困ったなぁ。
 リハって言うよりミニコンじゃん。」
「だって、西村さんの歌声をプライベートでだなんてめったに聞けませんからね(笑)」
「それと君たちのお目当ての弓弦の歌声だからなぁ。
 聞き惚れるぜ、きっと。そういう曲を選んできたしな。」
「そうなんっすか?やっぱり西村さんは、
 昔から弓弦を大切にしているみたいですもんね。」
「あいつはプライベートでも仕事でも半身みたいなもんだからさ。
 曲でつまれば、いろいろと話して解決するし
 演奏で力が足りなければ弓弦がどうにかしてくれる。」
「西村さんと弓弦は切っても切れない仲なんですね。
 それを俺がかっさらったら西村さんどうします?(笑)」
「もちろん取り戻しにいくさ、でないと俺が困る(笑)」
「西村さんよ弓弦は相思相愛なんですねぇ。弓弦も言ってました。
 この世の終わりを迎えるとき一番最後は西村さんのそばにいたいって。
 一人でいると不安になるやっぱり西村さんと二人でないとって。
 俺やきもち焼きますよまじで。」
「槙村さんも弓弦のこと好きなんだな。
 弓弦争奪戦はかなりな人数いるからなぁ。弓弦の気持ち次第だな。
 弓弦の気持ちが変わらないうちに俺がかっさらおう。」
「やめてくださいよ(笑)まだチャレンジャーが出そろっていないんですから。」
「誰がいる?俺と槙村さんだけだろ?」
「なんでそれを?」
「だって、沖縄からストーカーしてきたんだろ?
 貧血ひどいときに看病したのも槙村さんだろ?」
「なんでしってるんっすか?」
「秋山君がな(笑)」
「けっ。先輩のくせにおしゃべりな。」
「でも本当に愛していないと看病なんて一晩も付き添えないからな。」
「宣戦布告しても、西村さんは大丈夫そうだな。
 俺も西村さんに負けないぐらい弓弦を離したくありませんから。」 
「あぁ。頼もしいね、相手にとって不足はない。
 お互いフェアに行こうな。でも、まだ相手がいるのか?俺らに。」
「多分おちゃらけて話しているけど圭一郎もだし弟扱いされているけど翔太も。
 誠さんなんて、一緒に働き始めてからずっとじゃないですか?」
「俺は貴志からも宣戦布告されたぞ?」
「なんだか多いなぁ。弓弦わかってんのかなぁ。」
「て言うか、呼び捨てでもいいって言われたんだ槙村さん。」
「仲間ですもん。西村さん俺のこと`渉´って呼んで下さいよ。」
「いいの?お互い呼びやすい名でいいんじゃない?」
「そうですね。これからもよろしく。」
 
西村と槙村はまだ帰ってこない弓弦たちを気にもしないで、
西村が持ってきている譜面を見ている。一つは西村と弓弦でアカペラ。
SDLの落合寛司に連絡を取り、曲を提供してもらったもの。
もう一つは弓弦がピアノを弾いて西村が歌うバラード。
それを二人で話していた。

コメント

ログインするとコメントが投稿できます

まだコメントがありません