森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 33

朝になる。一つの夜を越えたふたり。
西村は横で寝ている弓弦の顔を見ながら、二人で朝を迎えたことを内心喜んでいた。
弓弦は、心を開いてくれたのかそんな気がしているのは西村だけなのか。
まだ横で眠る弓弦の顔を見つめる西村。
朝陽が当たり髪がキラキラとしている。癖のあるくるくるとした髪。
白い肌に映える髪の色が透明で触ろうとするとそのまま消えてしまいそうな感じ。
切れ長の目はいつものくりっとした大きな目とは思えないような
すっと一本のすっきりとした瞼。
まつ毛が長い。やっぱり女なんだよなぁとそう思い見つめる。
口元まで指が落ちていく。そっと生え際から頬を伝い、
唇に指が落ちていく。愛しく・・・・愛しく指が弓弦の顔をなぞっていく。
唇まで落ちた時、ふと西村はkissをした。




すると気が付いて起きる弓弦。
寝ぼけている弓弦に西村はおはようと声をかける。

「起きた?」
「え、あぁ。起きた。」
「どうしたのさ。」
「えっと。」

戸惑う弓弦。お互い素肌でベッドにいることで夜を思い出す。
戸惑った顔がみるみる赤くなる弓弦、それを見て笑い出す西村。

「どうしたの。」
「どうしたのって・・・・・。」
「弓弦は何も覚えてないふり?」
「いや、赤裸々に思い出してしまって。ちょっと・・・・・」
「あの夜の弓弦はどこにいるんだ?今現在。」
「どこって……。」
「なぁ、弓弦。」
「何?」








「結婚しよう。」








「結婚。一緒に暮らそう。」







「あの。ちょっと待って。いきなり言ったって。」
「いきなりじゃないだろう?
 これまでも何度となく弓弦にはプロポーズしてきた。
 だけど、一晩一緒に居て俺はお前を一人にしたくない。
 お前さえよければ、今の弓弦を俺は迎えたい。」
「あたしを?このままのあたしを?」
「あぁ、そのままの弓弦を俺に。」
「本当に?」
「本当に。」
「沢山のライバルが現れ、そしてこんな夜を迎えると
 これから先、やっぱり弓弦を誰かに奪われたくないし・・・・・。
 誰かに奪われたりしたら嫌じゃないか?
 それよりも、お前の自由を俺は束縛しない。
 結婚して俺の物って縛り付けることはしない。
 ましてや、弓弦は浮気なんてできない人間だってわかってる。」
「でも返事は待って。お願い。
 あたしの中でうまく整理できない。うれしいんだけど。」
「それは気持ちが整理出来たら俺の所に来るということ?」
「あたしの時間の一番最後は西村さんとって自分でもそう思ってる。
 それだけ大切にしてもらっているし、あたしも西村さんがすごく大切。
 でも、まだあたし西村さんの所へ行く前にやりたいことがたくさんで。」
「だったら、婚約発表だけはしよう。世間一般に俺らは婚約していると伝えたい。」
「そんなことしたら、西村さんの立場が。」
「だから言っただろう。俺は弓弦の仕事が夜の仕事であろうとも
 俺の大事な奥さんは天性の感性を持ったバーテンダーなんだって
 そう誰にでも自慢できるって。
 俺の中では弓弦は誰にでも自慢できる女なんだって。」
「なんで・・・・・。」
「弓弦本当は泣き虫なんだよな。それを知っているのも俺だけだぞ?」


朝からまたそのままの姿で抱き合う二人。
あまりの突然に弓弦もまだ何も考える余裕もないのに、
西村は答えが出て、もう俺の物だと言わんばかりに自分のキスマークを
弓弦につけてまわる。白い肌にくっきりと浮かび上がるkキスマーク。
弓弦は何の抵抗もしないまま西村の腕の中にいる。
なんとなく西村の腕の中にいる自分が今までと何かが変わっている気がしている。
愛されている自分が何の抵抗もなく人の腕に抱かれているのが不思議なぐらいに
弓弦は西村の腕の中での時の流れを安心しているかのように見える。



日が昇り起きださないととベッドに座り起きようとしていた二人の時間。
そんな朝に誠は電話を弓弦の携帯に入れる。

 ‘turururururururrururu'

「おはよう、弓弦。」
「あぁ、おはようございます。誠さん。」
「今大丈夫か?」
「はい。どうかしたんですか?」
「どうかしたじゃないだろ(笑)本番前の練習!」
「そうでした(笑)忘れたわけじゃないんですよ。忘れたわけじゃ。」
「西村さんと組んでも出るそうだが?」
「それは昨日打ち合わせしてばっちりだし大丈夫です。」
「んじゃ、あとは俺たちのだけだな。もう店には集まってるんだが
 弓弦には言ってなかったって思って今電話した。」
「なんてことですか!ちゃんと言わなきゃダメでしょう?
 これからそっちに行っても45分はかかる。」
「ゆっくりでいいぞ。貴志もまだだからさ。」
「そっか。でもこれからそっちに向かう。」
「ゆっくり安全運転でな。」
「わかった!」

横で笑っている西村。電話を切ると西村の方を見る弓弦。
目が合うと、なんだかくすぐったく笑ってしまった。
用意をしないとと二人笑いながら1階に下りて行った。
ご飯どうする?と話しながらも西村は朝一で社長の所に顔を出さなければいけないといい
弓弦も遅くはいけないからと言って出かける準備をしたいと話している。
西村と一緒にシャワーを浴び着替える二人。そして西村と家を出る。
朝ごはんはそれぞれ食べようということになり
そのまま身支度を整えて出かけて行こうとしていた。


「ねぇ西村さん。」
「ん?」
「あんね、あたしの部屋の鍵。渡しておきたいんだけど。」
「良いの?んじゃ俺のも明日一つ渡すから、明日でいい?本番前には。」
「明日、バイクの鍵も車のかぎも一つづつ。西村さんには渡したい。」
「それって?それって返事?yesの返事?」
「あの人がいないあたしの時間。西村さんしか目の前にはいないんだよ?」
「それが答えって受け取っていいんだな?弓弦。」
「・・・・・・・・・・・・・(笑)」
「俺さ、喜んでいいんだよな?弓弦、そういう意味だよな?」
「何度も聞かないで、あたしどうしていいかわからないんだから。」
「弓弦、ありがとう。俺を選んでくれて。」
「西村さん。こんなあたしでいいの?」
「そのままでいいんだから。そのままの弓弦が。」
「ありがとう、今日の夜家族には話しをしていい?」
「俺ここに帰って来れないかもしれないけど…大丈夫か?」
「大丈夫。びっくりされるだろうけど、大丈夫。気が変わらないうちに
 話をするわ。」
「弓弦の気持ちがか?」
「西村さんの気持ちが変わらないうちに(笑)」
「お互い様か(笑)」
「明日の本番は何も言わないでよ?あたしがパニックになってしまうから。」
「わかってるって。でも覚悟しておいてくれよ?」
「怖いなぁ(笑)」
「さて二人の一歩だな。さて、事務所にでも顔だすかな。」
「気を付けて、行ってらっしゃい。」
「弓弦もな。またあとで連絡を入れる。」

二人バイクに乗りその場を後にする。
西村の気持ちと弓弦の気持ちが重なった夜を思うと二人とも浮足立った気持ちは隠せるはずもなく。

「おはよう。すまない、遅れてしまった。」
「弓弦おはよう。」
「弓弦さんおはようございます。」
「ごめん、リハーサル朝からやるって知らなかった。」
「いや、俺も連絡してなかったからな、俺が悪い。」
「誠さん忘れてた?」
「いやいや。長崎に行ったからさ、疲れてると思うと
 電話しづらくてさ。でも、気は済んだかい?」
「あぁ。て言うか、電話してくれた方がよかったかも。」
「なんでさ。」
「昨日はうちでmartin+槙村さんと大川さんでどんちゃん騒ぎ。
 まいったよ。それに西村さんとの打ち合わせやってさ。」
「大忙しだったな。でも明日は?」
「全然、西村さんのはOKさ。」
「んじゃ、俺らも。」

そういって5人。誠・貴志・弓弦・真志・俊哉で合わせる。
曲だけを流し、本番のように歌い踊る。
店で練習できるのは開店準備前の時間あと4時間しかない。
朝2時間通し稽古、貴志と後の4人で少しずれがある。
DVDを見ながら一つづつ見直す。午前中はその見直しの練習。
息はぴったりなのだけれど、何かしらずれが出ている。
誠と弓弦の息はぴったり。俊哉がそれに続く。
真志は余裕でPVそのままだし。貴志は少し急いでいるような感じ。
一つ一つの見直しで貴志が誠と弓弦にあってきた。

「なぁ、腹すいた(笑)」
「あたしも。」
「弓弦があたしって言ってるぞ?何があった?」
「何にもないって。それより、腹の虫が騒いでる。」
「チルドに何か賄いようのが入っているか?
「ないなぁ・・・・・。」
「んじゃ、マック行こう。角に新しくできたじゃん。」
「マックかぁ。おなかいっぱいにはならないなぁ。」
「弓弦さんのおなかはどうなってるんっすか?」
「ブラックホールに決まってるじゃんっ!(笑)」
「ったく。行くぞ、食べに行かないのか?」

お店を出て5人、マックに向かう道すがらやはり目立つ。
タレント5人集まっているのと変わらないmaskの5人。
誠は一番落ち着いているのに、俳優の鈴木に似ているし
貴志は一番甘いmaskで、どちらかというと大川に似ているのだろうか
あの目で見つめられるとだれもが落ちていきそうないい男。
真志はきりっとした端正な顔立ち。武道やってます的な、
日本男児らしい顔つき。
俊哉はかわいい。マスコット的なかわいい顔。
きっとアイドルと言ったらこういう人をさすんだ的なかわいい笑顔。
それに翔太に似た弓弦と並んで5人。昼間の陽射しのなかではすごく目立つ。
特に髪を短く翔太とお揃いにした弓弦はその場にいるだけで目立つ。

 `いらっしゃいませ。ご注文をどうぞ。´

そう言う店員の前で5人は、もめにもめて注文をするのだが
周りや店員にはいい男5人でにぎやかに注文する姿は笑いを誘っていた。

「誠さん、それだけで足りるの?」
「いや。もう一つ。」
「貴志、お前食いすぎだって(笑)」
「弓弦さんには負けるって、見てみろ、真志。」
「・・・・・・弓弦さんお化けか?」
「俊哉きちんと食べろ!たりねぇぞ?だから大きく育たねぇんだって」
「弓弦さんが食べすぎだって!だから背ばっかり伸びるんだっ!」
「あーもぅ!お前ら、一人づつ言え!」

にぎやかな注文はすごく大量な注文だった。
その店の端っこのテーブルを5人が占拠する。すると隣の席の女の子が騒いだ。

 `martinの翔太君?´

5人は顔を見合わせ、弓弦が口を開いた。

「そっくりでしょ?あたしこれでも女よ?」
「ほんとに?びっくり!でもなんでなんですか?」
「明日そこの公園でチャリコンがあるだろ?それに出るんだ。
 よかったら来てよ。俺ら、そこの角を曲がったところにある
 bar`mask’のメンバーなんだ。」
「明日?明日の日曜に?」
「あぁ。明日。」
「こいつはトップバッターで、芸能人と一緒に出るぞ。
 いいのを見られるかもな。そして最後に俺たち5人。
 おいで。きっと楽しいよ。」
「そうなんですか?行きます。絶対見に来ます。」
「まってるよ。」
「おまたせしました、ご注文の品です。」

といって店員が誠たちの注文をおいて行った。
それもびっくり。ビッグマック12個にフィレオフィッシュ8個ポテトが4つもあるし、ドリンクはLLサイズ。
弓弦のに関してはエビフィレオが3つも。あきれたやつ。

「弓弦それ好きだなぁ。」
「これが一番好き。お肉はなぁ。
 でもフィレオフィッシュ1個はあたしんだぞ?」
「だーかーらー。お前食いすぎだって。どこにどうやったら入るんだ?
 お前のウエストれでも細いもんなぁ。行ってみろよ。お前ウエストいくつだ?」
「あたしの?言えないわよ。でも65はないわ。
 そういう誠さんだって人のこと言えないでしょ。」
「俊哉なんか見てみてよ。おかしいってあいつも。」
「俊哉・・・・ビッグマック3個もか?」
「全然軽いっす。追加頼むかも、先輩たちゆっくり食べてよ?」
「俺たち化けもんか?(笑)」

とりあえず、食べるものは食べてとゆっくりしている中俊哉が食べる食べる。
真志も尋常じゃない。ポテトがそんなに好きかぁ?というぐらいに
4つあったポテトをひとりで食べている。
テーブルにあったすべてが無くなると、何もなかったように立つ5人の姿を見て
店員は何かしらおかしくてまた声をかける。

「先にお電話いただくと、時間につくっておくこともできます。
 なんなりと申しつけください。またのご来店をお待ちしております。」

と。

「なぁ、誠さん。」
「ん?」
「いくらだった?割り勘にしよう。」
「弓弦、弓弦からそういうこと聞くとは思わなんだ(笑)」
「でもさ、あんなに食っといておごりはあんまりだろ?」
「貴志!お前何食った?」
「覚えてません(照)」
「俊哉!お前も払え。」
「俺も何食ったっけな?」
「誠さん正直いくら払った?」
「一万円から少しのおつりさ。」
「まじでか。あたし、自分の分はわかるから店に帰ったら払うよ。」
「弓弦さんが払ったら俺らも払わなきゃいけなくなるじゃないですか。」
「お前ら当たり前じゃ?大先輩の誠さんに払わせて。普通、後輩がおごるんだぞ?」
「そういうこと?」
「そういうこと!」
「弓弦いいさ。明日本番でミスしなければそれで良しとしよう。」
「なんか代償が高いなぁ・・・・・。」
「さぁ、練習。みんなが来始めるから何度かやったら見てもらうぞ。」
「そうだな。練習しよう。」


お店に入ると数人が準備をしていた。ぼちぼちと集まりはじめる仲間たち。
開店一時間半前になるとほぼ全員集まっている様子だった。

「ちょっと集まって。明日開催される恒例のチャリコンの件。
 みんなの代表として出るにあたって、練習を重ねた。
 幸い今回やるunionMartinの方々に協力をいただけて
 すごく上出来に仕上がったと思う。   
 で、これから2曲練習したものを見せるのでダメ出しがほしい。」
「貴志も真志も頑張ったし俊哉だって。」
「一番は弓弦さんでしょ?姿までまねたんだもん。」
「んじゃ。」

曲がかかる初めに`love is・・・・´
それが終わると歓声と拍手。完ぺきだってと。その点で前は息が上がっていた5人。
この1曲踊り終えても息が上がらない。
次の`the monster’。このPVで見てもきついと感じ
やってみるとかなりハードだったこの曲も、今は5人息があった姿を見せる。
始めは聞くつてみんなに追い付いていけなかった弓弦も
このリハではみんなに笑顔で余裕を見せるぐらいに踊れている。
本物の翔太だったらここでこんなアドリブ入れるんだろうなとか想像し
弓弦は余裕のアドリブを入れる。
見ている方としては、本物を見ているようだとそう話をしていた。
そして踊り終えた5人に拍手が。

「誠さん!完璧じゃん、だめだしなんてできませんって。」
「俺も、弓弦さんがここまで翔太をやれるなんて思わなかった!」
「見てくれまねただけじゃなかっただろう?」
「あぁ、すげぇ。」
「現に翔太君とも仲良しになったし(照)」
「そうなの?て言うか、前にも弓弦さん指名で来たもんな。」
「明日が楽しみだー!見に来る人みんなびっくりするぞ!」
「あぁ。maskからびっくりな5人組が出るんだ。」
「そのあとが大変になると思っておかないとな。」
「この5人で看板しょって出る舞台だ。チャリコンとはいえ
 その夜からは大忙しになるぞ。」
「それはわからないけど、でも頑張らないとね。」
「今日はお店開けるけど5人ともこのままOKか?」
「ちょっと着替えるけど大丈夫だよな。」
「あぁ。」
「んじゃ、30分後開店する。」
「yessir」

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