森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 34

一方西村は朝弓弦の家から事務所までまっすぐに向かった。
嬉しい気持ちを抑えながらこれで事故ったりしたら笑いものだろうなぁと
そう思いながらもヘルメットの中の西村の顔はにやけている。
そう自分でもわかっているからなんだかうれしくっておかしくってつい笑ってしまうのだ。
事務所に着くと、いつもの場所にバイクを止めて社屋に入っていく。

「おはよう。」
「おはようございます。」

と何気ない毎日繰り返される会話が今日に限って西村の雰囲気が違った。
他の部署の人間も他のタレントのマネージャーもそれに気づく。
何かいいことあったんだろうなぁと。
西村のチームのメンバーもそれに気づき声をかけるが
西村は何も話してはくれない、まずは社長にというだけで。

 `konkon´

社長室のドアをたたく。秘書がはじめに顔を出した。

「社長はもう来られてますか?」
「えぇ、どうしたんですか?西村さん。」
「ちょっと社長と二人っきりで話がしたいんだけど・・・・。」


「社長、あの西村さんが社長と話をと言われてますが。」
「なんだ?こんなに早くから。とりあえず、こっちに。」

「西村さん、こちらへ。」

「社長、おはようございます。」
「あぁ、おはよう。どうしたんだ?なんだか顔がうれしそうだが。」
「ちょっと。ちょっと社長のご報告が。」
「人を払ったほうがいいかね?」
「えぇ。」
「おい、尾崎君。」
「はい、なんでしょう?社長。」
「秘密の話しをしたいんだが秘書の方々席を外してくれるかね?」
「承知しました。」

そういって社長室とつながっている秘書室のドアが閉められた。





「社長。」
「なんだね?なんだかすごくうれしそうな顔で話してるがなんだね?」
「結婚してもいいでしょうか?」




「ん?」



「結婚、結婚してもいいでしょうか?」


「ん?」
「そう何度もわざと聞き返さないでくださいよ、恥ずかしいじゃないですか。」
「お前の口からやっとその言葉を聞けたなぁって思ってさ。」
「社長(笑)」
「で、やっと口説き落とせたのか?」
「えぇ。やっと、やっとの思いでyesと言わせました。」
「そっかぁ・・・・・長かったなぁ。お前よく頑張ったなぁ。」
「槙村君とか橋本君とかいろんな人が口説いている中、俺が口説き落としました。」
「当の本人は今日は来ていないのか?」
「今仕事場の方でリハをやってるんじゃないですか?明日本番だし。」
「お前と彼女のリハは終わったのか?」
「もちろん、昨日リハやってこれでいいだろうということで終わった後に
 口説き落としました。」
「んじゃ、本番ではどうするんだ?」
「弓弦の家族との話があるし、唯一の家族のお爺さんにも会わなきゃいけない。
 きちんと順を踏んできちんと結婚式まで持っていきたいんです。」
「弓弦君のご家族?」
「弓弦のお母さんの妹さん家族と弓弦のお父さんの方のお爺さん。」
「で、わかっているのか?」
「お母さんの妹さん家族は伯父伯母にあたる方は料亭:吉祥の社長と女将。
 その人たちの娘、弓弦のいとこにあたる子がM'scompanyの受付嬢ですよ。」
「山本さんの所とは切っても切れないなぁ(笑)」
「お爺さんは。秋山さんから聞いたところによると、吹楽連盟の会長
 原田氏の孫にあたるのが弓弦だそうですよ。」
「おいおい、なんだ?お前弓弦さんの事何にも教えてくれなかったじゃないか。
 原田氏の孫だなんて聞いてないぞ?」
「弓弦も何も俺には言わなかったんです。隠すつもりもなかったらしいですけど
 たまたま沖縄で合宿中に弓弦の恩師がばらしたらしくって(笑)」
「お前・・・・ただの発表だけじゃすまないぞ(笑)」
「だから順を踏んでって言ってるじゃないですか(笑)」
「とりあえず、弓弦さんをフリーではなくってうちと契約し
 うちのタレントという立場になってもらおう。
 どっちにしてもお前の手伝いをしている以上、きちんと契約をしないとな。」
「そうですね。弓弦にあとで連絡を入れます。」
「でだ。お前自身、原田氏に挨拶に行くのはいつにするんだ?」
「チャリコンが済んだ次の日でも都合がよければ弓弦と一緒にと考えてますが。」
「わかった。それには私も一緒に行くことにしよう。」
「ありがとうございます。」
「お前が上京してきてずっとお前をご両親の代わりに育てたんだ。
 ご両親もさぞかし喜んでおられるだろう。
 お前は墓前に報告せんとなぁ。」
「えぇ、近々行こうと思っています。弓弦を連れて。」
「おめでとう、正弘。わが子としてもうれしいよ。おめでとう。」
「ありがとうございます。」
「とりあえずすべてはチャリコンが終わってからだな。」
「そうですね。とりあえず報告をと思って。」
「正弘は弓弦さんを手に入れた。わが社としても弓弦さんを手に入れたとなると
 これから先が楽しみだなぁ。」
「でも社長?弓弦はバーテンダー辞めるつもりは全くないみたいです(笑)」
「そうかぁ・・・・でも彼女のタレント活動はわが社との契約だ。
 2足のわらじはきついだろうが、もとはお前のアシスタントだからな。」
「そうですよ。弓弦は契約があっても俺のチームのメンバーなんですかんね?(笑)」
「わかったわかった。とりあえずおめでとう。弓弦さんにもよろしく伝えておくれよ。
 契約の件はこの後の会議で決まると思うがそれから
 今夜でも契約で伺いたいと連絡を入れるからとな。」
「わかりました。伝えておきます。
 でも社長。内緒ですよ?
 俺だって明日本番の時に、喋っちゃおうかと迷うぐらいですが内緒です(笑)」
「わかったよ。」
「んじゃ、報告だけなので。」
「あぁ、うかれ気分で事故なんぞもらうなよ?」
「わかってますって。」
「今日の夜はお前は大丈夫なのか?」
「大丈夫です、リハも終わってるしゆっくり過ごしたいんで。」
「なら、山本君とも話があるから弓弦君の店に行くが
 そのとき一緒に行くか。」
「そうします。弓弦にもそう連絡を入れておきます。」
「んじゃ今日の夜19時に。」
「了解しました(笑)では社長。」
「あぁ、後でな」

そういって社長室を出てTV局の収録に向かった西村。
マネージャーの山田が運転する車の後ろの席に座り弓弦に電話を入れる。

「あぁ、弓弦?」
「どうしたんですか?」
「そんな言葉づかいするなよ、俺と弓弦の間でさぁ(笑)」
「だって、昨日の今日でそんなに変わることできないって(笑)」
「今大丈夫か?」
「大丈夫、5人で合わせてたんだけどちょっと一服(笑)」
「仕上がりはいいのか?」
「ばっちりよ。でも何か用事?」
「一応さ、社長には言った。俺と弓弦とのこと。」
「もう?もう話したの?」
「あぁ、おめでとうってさ。」
「なんだか顔を合わせるのが恥ずかしいかも(汗)」
「チャリコンが終わったら一度こっちに来なきゃいけないと思うけどさ
 その前にだ、その前に。」
「その前になに?」
「川上社長がさ、弓弦とのマネージメント契約をって言ってるぞ。」
「そういえばそんな話もあったかも(笑)」
「おいおい、覚えてないと失礼だぞ(笑)」
「わかってるって冗談で言っただけじゃん。」
「でさ、契約。今日弓弦は出勤なんだろ?」
「今日は多分ラストまではいないんだろうけど。」
「んじゃ、今日19時にそっちに行くけどいい?」
「大丈夫、今日はまだ大丈夫。でも今日なの?」
「チャリコンが終わったらすぐにM'scompanyさんの所の
 ほら、翔太たちの所の話をしたいらしいんだ。」
「martinの?」
「弓弦、Martinのアルバムに載ってしまうだろ?
 それの話だろうな。弓弦はどことも契約をしたタレントじゃないから
 俺の顔を立てて川上社長の所に話を持ってきたらしい。
 もともと俺ん所のメンバーだしな。
 その話を進めるために川上社長とのマネージメント契約と
 川上corporationとM'scompanyと弓弦とのしたいんだそうだ。」
「そっかぁ。そうだね、そうしないとみんな困るんだね。」
「そうさ。いろんな肖像権とか著作権にかかってくるから、
 なんでも明確にしておかなければいけないしな。
 だから今日そっちに山本社長と川上社長と俺とで行くから。
 弓弦は一応オーナーの耳に入れとけよ。」
「わかった。んじゃ夜に。」
「夜に。それと今日は特別だから出すものも特別にな(笑)」
「考えておくよ(笑)とびっきりのを用意するよ。夕飯は食べてくる?」
「いや、俺はそのままそっちに向かうから食べては来ない。
 社長たちはわからないけど、用意してもらったら助かるかも。
 弓弦の奮って3人前な(笑)」
「恥ずかしくないように頑張る。んじゃ、仕事がんばって。」
「おぅ。弓弦もな。」

電話が切れると山田がにやにやしながらルームミラーで見ているのに気が付いた。

「なんだ、山田。」
「いえ、なんでもないっすよ(笑)」
「山田ぁ。」
「なんでしょう?」
「ばらすなよ、まだオフレコだ。記者会見するからそれまで誰にも言うなよ?」
「弓弦さんとの結婚話ですか?」
「わざわざ口に出すなよ、わかってるんじゃん。」
「俺、誰かに聞かれたらボロボロ喋ってしまいそうですよ。」
「山田っ!風邪ひいたとかごまかしてマスクしておけ(笑)」
「でもしゃべりそう(笑)」
「ガムテープ貼ってやろうか?山田っ!(笑)」
「勘弁してくださいっすよ(笑)絶対喋りませんから。」

TV局に向かう車の中では二人しかいないのににぎやかな移動となっていた。
一方弓弦はオーナーが起きてくる11時過ぎ、ちょっとごめんと言い
上の階にあるオーナーの部屋に行った。

 `kon kon´

「はい、誰だ?」
「おはようございます、弓弦です。」
「おぅ、入れ。どうしたんだ?朝から。」
「じつははなしておかn開ければいけないことがありまして。」
「ん?・・・・・・・・・嫁にでも行くのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」
「おいおい、まじか(笑)」
「まだみんなにはなしてないんですが。ちょっと話が。」
「汚いが奥に入れ。」
「お邪魔します。」






「で?」
「あの・・・・」
「誠か?貴志か?・・・・・・martinの坊主か?」
「違いますよ(笑)」
「そっか、やっぱり収まるところに収まるのか。」
「ですね。何度も何度も真剣に言われてるのにもう返事をしないわけには
 行かないですしね。」
「槙村君じゃないんだな、その様子だと。」
「槙村さんはいい人だけどいい人止まり。あたしとあの人は合わない。
 多分、喧嘩ばっかりになってしまう。やきもち焼きさんだからあたしには無理。」
「そうだなぁ。その点西村君はお前をよく泳がしておいてたなぁ。
 こころが広すぎだぞ。」
「いい人です、なにごとにもあたしのことを一番に考えてくれていると
 そう思える人だから、今回真剣にプロポーズしてくれたことで
 返事をしました。」
「そっか。弓弦も他人の物になるんだなぁ。で、仕事はどうするんだ?」
「辞めません。西村さんも辞めなくていいって言ってくれているし。」
「でもあいつは芸能人だぞ?何か言われてからじゃ遅いと思うんだが」
「あたしにはどこに出しても恥ずかしくない奥さんの仕事だから
 自信を持って仕事をしたらいいさって。俺の自慢なんだからって
 そういってくれたんです。だから、仕事は続けます。」
「そっか、お前がいなくなるとさみしいからなぁ。
 でももう男っぷりのいい弓弦ではだめだぞ。わかってるか?
 あいつは仕事をがんばるお前が大好きなんだ。男でも女でもどっちでもいいんだ。
 記者会見とかするんだろうから、その少し前から弓弦のスタイルで
 カウンターに入るんだぞ。男前の弓弦だと西村君が困るんだからな。」
「まじですか・・・?」
「あぁ、大真面目にだ。スタイリッシュな弓弦だとどう見えても
 西村の嫁として恥ずかしくないからな。お前の制服をきちんと女性の制服に変えるから。」
「今の方が仕事しやすいのに。(笑)」
「弓弦。」
「はい。」
「おめでとうな、娘を嫁にやるようでなんだかさみしいがお前の幸せだ。
 そして辞めないでいてくれるのならばそれは助かる。」
「オーナー。辞めるはずがないじゃないですか。
 オーナーは、あたしに西村さんから天性の感性を持ったバーテンダーって
 褒めてもらえるような仕事をあたしにくれたんです。
 こんなに丁寧に、いろんなことを教えてもらってここまで育ってきたんです。
 結婚してもきちんとオーナーのそばで働きたいんです。」
「ありがとう、そういってもらえると私もうれしいよ。」
「それでですね。一応西村さんの所の川上社長とmartinの所の山本社長と
 西村さんとで19時に来るからと連絡を受けたんです。」
「そりゃまたなんでだ?」
「山本社長が西村さんの顔を立ててMartinのアルバムの件で契約をしたいと言われたんですって。
 でも、あたしフリーでしょ?
 だから西村さんの所の川上corporationでマネージメント契約を結んで
 山本社長の所との仕事の契約を結ぶんですって。
 だから、今日それをこちらでということでした。」
「そっか、いきなりだな。でも、話が進んでいる以上きちんとしないとな。」
「多分仕事終わりで来られるでしょうから19時から個室の方を使います。
 夕食をあたしの手で準備したいと思っているんですが。」
「いいだろう。弓弦の腕を見せつけてあげないさい。
 お前の料理の腕は天下一品だ。ふるまって喜んでもらえると
 私も鼻が高い。頑張って気を抜かずに準備するんだぞ。」
「わかりました(笑)」
「んじゃ。」
「オーナー。ありがとう。オーナーの分の夕飯も腕を振るうから。」
「俺のもか?そりゃ楽しみだ。」
「任せておいてよ(笑)」
「チャリコンのダンスもばっちりなのか?」
「えぇ、もう誰が見てもそのまんまコピーに見えるぐらいに。」
「そかそか。明日頑張らないとな。」
「えぇ、んじゃ、下に戻ります。」
「気を付けてな。」






店の方に戻る弓弦。誠が呼んだ。


「おい、始めるぞ。」
「わかった。」

そういってお昼までのあと少しの時間、ダンスの練習に励んだ。
お昼になり外に食べに行った5人だけれど戻ってから一幅の後練習を始めた。
何度か通し稽古をしていると出勤してくるやつらが増えたので
とりあえず開店準備をし始める。
弓弦は誠にも話す。今日、川上社長と山本社長と西村とそして自分と
オーナーで少し話があって19時から個室を使うと。
何があるんだと聞かれるがそれはあとで話すからと言い笑ってごまかした。

その開店する前にと社長たちのために買い出しに行くと言って弓弦が出かけた。
仕事からそのまま来られるから、ここで何か食べるものをと言われているのでと言い
弓弦の腕を振るうのだとみんなすぐわかって、自分のリクエストまでを頼む始末。
弓弦は、笑いながら買い出しに出かけて行った。


そうして、チャリティコンサートの前日の営業が始まった。



開店してしばらくすると弓弦の指名が入った。
もちろん弓弦は個室の奥で山本社長と川上社長、西村に出す分の
準備をしていたのだが、呼ばれて顔を出した。

「山本社長。お早いおつきでしたね。」
「原田君、少し早いと思ったが来てしまった。どうしようかとも悩んだが
 どこかで時間をつぶすぐらいならって思って
 まっすぐこちらに足を向けてしまったんだ(笑)」
「いえ、こちらこそなんだかここでは誰にも話をしていないので
 どういった顔をしてお話してよいか分からないのですが、
 とりあえず何も食べては来られなかったのでしょう?」
「あぁ、西村君からそう言われてね。今朝言われたんで
 お言葉に甘えてすきっ腹で来ましたよ。(笑)」
「おおげさな…(笑)でも腕によりをかけて作ります。
 とりあえず、事を知っているオーナーが山本社長の相手をしますので
 少しお待ち願えますか?」
「待ってるよ。小林オーナーには話はしてるんだろう?」
「えぇ。だから恥ずかしくないものをお出迎えするようにと言われています。」
「んじゃ、小林君と話しながら原田君の出来上がりと川上さんらを待つとするか(笑)」
「オーナーよんできますね。こちらでお待ちください。」



そういうと弓弦は奥の方へ行きオーナーに山本社長が来られたのを伝え
弓弦は個室の方へ消えて行った。


そうして又穏やかな笑いの中時間が好きていく。
もうそろそろ19時を指すころだなぁと時計を見る山本。
もうそろそろですねと話をしているオーナーと。
すると声がかかった。

「原田さん、ご指名です。」

そういって川上社長と西村が通される。

「いらっしゃいませ、川上社長。お久しぶりです。」
「原田君、おめ・・・。」
「社長、まだ仲間たちには話をしておりません。オーナーだけです(笑)」
「そかそか、すまない。」
「弓弦、あっちにいいんだろう?腕は振るったかい?(笑)」
「もちろん、恥じないように手をかけましたよ。
 オーナー、移動しましょう。さぁ、山本社長川上社長。
 一緒にこちらの部屋へ。」

そういって通される個室、カウンターになっているのだけれど広く作られたそこは
店内とは別個のおもてなしの特別な部屋。
席に座ると、西村と弓弦が並んで喋りはじめた。

「すみません、川上社長にはちょくちょく話はしてたのですが
 弓弦へのプロポーズ。これまでかなりな間返事をもらえなかったのですが
 やっと返事をもらい、結婚する約束をしました。」
「これからもきっと私たちはご迷惑をおかけし続けると思いますが
 よろしくお願いします。
 オーナーに育ててもらった恩を忘れないように
 そしてこれからもお世話になる川上社長の恥とならないように
 山本社長とのお仕事で足を引っ張らないように二人で頑張りたいと思います。
 これからもよろしくお願いします。」

そういうと弓弦の目からひとすじの涙が流れた。

「まだまだこれからだぞ。これからもっと踏ん張ってもらわないとな。」
「あぁ、そうだな。二人になればもっともっと活躍するようになるだろうからなぁ。」
「おめでとう、これからもがんばっていこうなぁ。」
「弓弦、絶対的な幸せをつかんだんだ。もう離すなよ?」
「もちろんです。オーナー。」

「さぁ、始めに契約の話をしよう。まずはうちとのマネージメント契約。
 これで晴れて西村と同じステージに立てる。これからYUZURUとして
 君を売り出していく。大いに活躍してほしい。」
「川上社長の望むようにはどうかとも思いますが
 精いっぱい努力させていただきます。でも社長。
 ここの仕事辞めるつもりはないんですが?」
「西村君から聞いているよ。君の天性の仕事だ、取り上げてしまうことはしない。
 ここの仕事を中心に活動をしていくということで。
 君の仕事の中心は西村のチームのメンバーとしての仕事だからな。
 単独の仕事があれば率先して活躍してもらいたいが。」
「ありがとうございます。仕事の話はおって決めて行ければと思っています。
 こんなあたしですがよろしくお願いします。」

そう話をしながら契約書に目を通し印鑑を押していく。
そして次は川上社長とYUZURUとしての仕事の契約。
M'scompany山本社長との会社としての仕事の契約。
この間のMartinのアルバムに使われた弓弦の事とかこれからいろいろと発生してくるだろう
YUZURUとM'scompanyとの間の仕事に関しての契約書類。
川上社長と二人で目を通し山本社長と話しながら契約書にサインをして印を押していく。
その二つが終わり記者会見とかどうするという話をしながら和んでいる。
すると弓弦は席を立ち、おなかもすいているだろうと思って用意しました
と言いながら奥へ消えて行った。
その後ろを小林オーナーが付いて行く。

「んじゃ、皆さんの分のご用意をしますね。」

そういうと、西村は席に座り社長たちに混じって話をしている。
オーナーが弓弦の作った先出を運んできた。

「まずは夏らしい先付を。胡瓜と蟹とグリーンアスパラの和え物を」
「見た目に繊細できれいだねぇ。さすがに原田君の腕前だ。」
「あいつも一応、調理師の免状持ってるんだそうです。
 まぁ、料亭吉祥に住み込んでるんでづからできて当たり前ですよ。」
「吉祥にか。あそこの女将も山本と言ったなぁ。」
「山本社長の所の受付嬢はその吉祥の跡取り娘じゃないですか(笑) 
 もしかして知らなかったんですか?」
「そうだったのか?まぁプライベートは早々突っ込んで聞きもしないからなぁ。
 でも受付嬢とは従妹同士だろう?弓弦君も料理の腕はかなりなものだろうなぁ。」
「美味しいですよ。あいつが毎年持ってくる梅酒は絶品です。
 はちみつ梅と一緒にもってくるのでオリジナルで旬の時に出しているはずですよ。」
「そうなんですかぁ。そんな嫁を貰うときっと西村君は幸せ太りするんだろうなぁ(笑)」
「まぁまぁ、俺も仕事があるんでそんな太ったら仕事できなくなるし。」

「次をお持ちするよ。」
「長崎の方ではアラカブと言っています地物の魚です。
 白身の淡白なお作りにしていますが紫は長崎特有の紫で。
 あと左からキングサーモンのカマの所の塩焼き。
 胡瓜と海月の甘酢和え。枝豆豆腐。穂先竹の子の若竹煮。
 長崎角煮。タコの磯風味。そして、長崎茶碗蒸し。
 ご飯の方はハマグリの炊き込みになっております。
 横につけているお酒は鹿児島の霧島酒造様の焼酎霧島(金)です。
 水菓子はうちのはちみつ梅を使ったゼリー寄せになっております。」
「ほほぉ、見事な腕前だなぁ、さすがにきちんとした指導と受けているな。」
「ありがとうございます。伯父が丁寧に教えてくれました。」
「それに金か。これは酒蔵まで行かないと手に入れられないものなんだろう?」
「えぇ、伯父から少し分けていただきました。今日のために。」
「弓弦君のルートにはすごいものが隠れていそうだな(笑)」
「さぁ、いただこう。」

5人で弓弦が腕を振るった料理に舌鼓を打ちながら時間が過ぎて行き
21時過ぎにはそれぞれ帰っていった。
そして22時過ぎ、チャリコンの出る5人を集めオーナーは明日をがんばるように
言葉をかけて5人を上がらせることにした。

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