森尾月子

もりおつきこ

何気におばちゃんです。
今まで書いてきた書き物を残したくて登録しましたが
どうしたらよいかわからず、
別サイトより手直ししながらUPしています。
妄想ものです。夢物語です。

YUZURU 208

疲れたのだろうか、秋本も早々に部屋の戻るとほかの部屋からも話す声は聞こえなくなった。
深夜はなはベッドを抜け出し、庭に出た。
庭に出て座り込み晴れて星が見えるその空を眺めている。
Janisに会えたことを喜ぶあまりまだ眠れずにいるのだ。
まず何から話をしていいのか、自分のこと・自分の周りのこと・帰国してからの一つ一つ
Janisに聞いてほしいのだが何から話をしたらいいのかがわからずにいる。
まず何から話をしよう。まず・・・・まず・・・・。

そう考えながらも、はなは気持ちの奥底にある一つの思いをどう切り出して話をしようかと
その話の糸をどこからと。

Janisが心配していた日本での時間を今はこうやって弓弦や誠やその周りの人たちの
その温かい心に包まれ、楽しい時間を過ごし大学で縁があった教え子たちとの
世界が広がりいろんな人との時間を過ごしたその濃密なときの流れに
寄り添い包まれこんなに幸せなんだと。帰国して全然寂しくないと。
話したいものの一つ一つを順序良くJanisに話をしたいのだ。
そんな中きちんと話をしたいと思っていることの一つに誠への思いがある。
自分の中にある誠への思い。まだ断ち切れないFrancisへの思い。
だけど、もう誠への気持ちは抑えきれなくなってきている。
あんなにそばにいてあんなに自然な自分でいれるのはFrancisのほかに誠しかいない。
そんな雰囲気を作っている周りもあるのだろうけれど、
原田家にお世話になっているこの状況の中で身構えることはないのだけれど
特に誠の前では。果たしてうまく話せるかどうかそれを気にしている。
少し肌に冷たい空気がほほに触り始めた気がしたはなは
部屋に戻ると、自分のベッドにもぐりこみ横になった。

Janisははなが庭で夜空を見上げて何か思いにふっけているような様子で座っている姿が
窓から見えていた。
自分も外にと思ったのだが明日も明後日もあると思いそのままベッドに横になった。
心地よい疲れ方。そのまま眠りに落ちて行った。
はなが言いたいことがなんとなくわかるのだ。
弓弦と正弘、そして初めて会った弓弦の仲間たち。
帰国してこんなに幸せな環境にいて、それも誠と話すはなの顔を見るとおのずと気持ちがわかる。
Francisも喜ぶだろう。喜ぶと思うと思うのだ。
今日の様子から見て、本当に帰国後のはなの幸せな時間を過ごしてきたのだということ。
そんなことをFrancisに報告すれば喜ぶに決まっている。
はなの笑顔を心から笑えるようになったはなの笑顔を見ると、きっと・・・・・・・。
そう思いながらベッドで深い眠りに落ちていくJanisだった。

明日も明後日も銀行とかとの詰めの話がある。
6日のFrancisの誕生日に設立には設立の声を上げる記者会見まで用意している。
それが終わってからでも、ゆっくりと話もできるし時間を共有もできるからと。
その上、原田が一番早起きでそれに合わせて起されると思いながらの就寝。

一人外に出て見上げた星空に、はなも気持ちが落ち着いたのか、
いろんなことを思い考えながら立ち上がり庭から自分の部屋に戻り眠りについた。



夜が明ける。
次の日起きたすぐはなは顔を洗い身支度を整え庭に出る。
原田を体をほぐし始めている。はなも「おはようございます」の言葉を合図に
一緒に体をほぐしを始めた。明るくなった空には雲一つなく真っ青な一色だけが広がって
その空の下で二人の声が響き始める。
すると翔太があくびをしながら「おはようございます!」とその二人に混じると
Janisが下りてきた。それも、きちんと練習着を着て。
にぎやかに朝練のような時間で一日の幕を開け、それぞれのその日の時間を始めた。










そしてまた次の日が、そこから幾日かがせわしく過ぎた。

Janisも原田も秋本とはなを巻き込みバタバタとし、誠はいつもの生活に。
翔太はキーパー達と一緒にリハビリをしながらも普通の生活ができるように自分の体力づくりを。
西村も弓弦も自分の仕事をこなし夜遅くに帰ってくるし、そんな日が2,3日過ぎて行く。
その2,3日が過ぎ設立の会見も済み、Janisの方もひと段落なのか原田とはなとJanisと翔太とで
夕飯の後ワインを開けてにぎやかに話をしている。もちろん横には秋元が。
その日はたまたまだが、夜の少し遅くなった時間に西村だけが原田の家へやってきた。
「弓弦は?」と原田が訪ねるとまだ事務所で雑誌のインタビューを受けていると。
翔太がちょっと残念な顔をしたので西村がそんなしないでこっちに来るよといった。
原田はキーパーを呼んで西村と弓弦が泊まっていけるように準備をしてほしいと言い
キーパー達は準備をするためその場を離れていった。
お願いしますという西村の声を聞きながら「はぁい。」とご機嫌な返事をして。



その日は事務所でこの間の記者たちのインタビューを受けていた弓弦。
終わって時計を見るともう21時を回っていた。
maskは休みだったためのインタビューだったのだが
帰り際声をかけられ引きとめられた。

「ねぇ、弓弦さん。」
「なんでしょう?もう終わったのよね?」
「えぇ、終わりです(笑)でも私これから呑みに出るんだけど一緒にどぉ?」
「これからで・・・すか?」
「そう、これから。」
「ちょっと無理かな、今日は。」
「そうなの?ん・・・・・残念だな。」
「また次に誘って。携帯の番号交換してれば大丈夫でしょ?
 週休2日だけど本業はバーテンダーだし(笑)お店に来ればいいんじゃない?」
「そうだったわ。行くときはどうすれば・・・・・。」
「んと、赤外線でっと・・・・。こうやってメールも番号も入れ込むから
 来るときはメール頂戴。そしたらこっちでも準備するわ。」
「ほんとに?いいの?」
「いろんな人がいるから大変かもよ?」
「いろんな人と知り合えるからいいんじゃない(笑)」
「んふふ、待ってるわ。じゃ、帰ります。いい記事にしてね。」
「えぇ、楽しみにしててね。」
「きっと行くわ。今日はありがとう。また今度。」
「えぇ、また今度。」

インタビューが終わると駐車場まで一緒に行き、そこで乗ってきた車に記者たちが
弓弦はバイクに乗りそれぞれの帰路に着いた。
それが終わったら明日は休みなのでと家路を急ぐ。
西村ももうついているはずだとは思っているが、事故は怖いと思っている分スピードは出ていない。
いつもの家路ではなく大泉までの道のりをご機嫌に走る弓弦。
一時間もかからずについたのだが、みんなは起きているのかどうかが分からずに門をくぐる。
するとまだ煌々と明かりがついており、にぎやかに声が外まで聞こえていた。
門をくぐると玄関までの砂利を踏み近づいていくと表を掃除していたキーパーが気付きドアを開けた。
リビングの方から「お帰りなさい」の言葉か聞こえると
弓弦もリビングに向かってその輪の中に入って夜が過ぎる。




次の日もその次の日もそれぞれの時間が流れる中、基金が動き始めた。
日本での事務所をまだ決めてはいなかったが、原田がしばらくは早々人もいないだろうと
連盟の事務職の中で担当を置くことにし、そしてそんな夜がいく日が過ぎた朝。
西村がロケで丸一日いない日が来た。弓弦は西村を送り出した後、誠に電話を入れる。


「おはよう、兄さん(笑)。」
「あぁ、おはよ。どうかしたのか?」
「ん~もう起きてたかなかって思って。」
「俺は今起きた。お前が起こしたんだ(笑)」
「よかったじゃん、目覚まし代わりで(笑)」
「で、なんだ?」
「みんな起きてるのかなぁ。」
「もう朝早くからきぇーーーとかおーーーーとか奇声発してるがな。
 Janisもはなも翔太も爺さんと一緒に庭にいるよ。」
「そうだよね、そうなんだとはわかってたんだけど。姉さんの電話にかけても出なかったから。」
「お前も明後日のために今日も通しがあるんじゃないのか?」
「いや、今日はない。明日朝からとおしてあるだけだから今日の夜は店に出ようかなって。」
「まぁ、好きなようにするがいいさ。」
「誠さんは今日は?」
「寝ていたいんだがなぁ・・・・・。お前の電話の前にJanisに起された。
 Janisもとりあえずの事が終わったんで、ゆっくりすればいいのにさ。
 朝からはなと爺さんに付き合って翔太と一緒に庭にいるよ。
 そのあとゆっくり寝てたんだけどなぁ。お前の電話がなぁ(笑)」
「そうなんだ。んじゃそっちに行くととばっちり受けるかな?(笑)」
「お前も早く来い。思いっきりとばっちり受けろよ。」
「えーーー(笑)」
「とりあえず来たらどうだ?」
「そうだね、これからそっちに向かうよ。」
「おぅ、待ってるからな(笑)」

電話を切ると弓弦はそそくさと準備をし、戸締りをして家を出た。
鍵を閉め駐車場に向かうと2台のバイクだけが残されている。
西村は車で出かけて行ったのだ。
まぁいいかとバイクのカギを持って出た弓弦は
自分のバイクに乗り大泉に向かう前に電話を入れる。

「おはよう。」
「あら、おはようございます、弓弦さん。今日はどうされたんですか?」
「ん?今日はまだ時間あるしって思って。まささんも仕事いっちゃったし。
 兄さんと出勤まで時間あるからちょっと顔出しにって思って。」
「いつもほんとに仲がいいんですね。誠さまは朝ご飯を食べられた後部屋にお戻りになられました。
 ご主人様とJanis様と橋本様・はな様は朝食後それぞれ別に・・・・。
 あ、はな様は秋元様とお出かけになられました、たぶん。」
「そうなんだ。んじゃ誠さんと翔太君はいるのね。」
「えぇ、お部屋の方に。Janis様と一緒に。たぶんですけど(笑)」
「そっか、んじゃ。またあとで。」
「はい、お気をつけて。」

そういって電話を切ると、戸締りをして大泉に向かった。




一方原田家では、朝食後は陽当りのいい場所でいろんな話をしている。
その日は何もないというとJanisと翔太。もちろん原田は事務局へ出かけ、
ゆっくりはしたいがどこかに出かけたいというはなも、自分の大学へ。
それに秋本ははなについていったようだった。


「おはよう。」
「あら、おはようございます弓弦様。今日は?」
「んと、誠さんもJanisもいるんでしょ?さっき電話入れてたんだけど。」
「奥におられますよ?」
「そう。んじゃ。」

そういいながらも廊下を進み突き当りまで行くと縁側に座り3人で話をしているのを見つけた。

「おはよう。」
「あぁ。もう来たんだ。」
「おはよう弓弦さん。」
「goodmorning、yuzuru。」
「どうしたの3人座りこんで。虫に刺されるよ?(笑)」
「ん、蚊取り線香がある(笑)これが不思議らしいよ。」
「蚊取り線香?」
「ダッテ yuzuru コンナクルクルシタ物デ Moustique ガ死ヌンダヨ? 
 モシコレガ 薬品デ ソレニ火ヲツケ ソノFuméeデ死ンデイルノナラ 私タチ 人モ 危ナイノデハ?」
「大丈夫よ、大丈夫(笑)Janisは変なところ気にするのね。
 昔から日本ではこうやって虫よけをするのよ。」

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