愚図

neg.


珍しくご一緒してもいいですか?なんて言われて拍子抜けする。
何も言わないでいたらどうなるんだろうかと考えていた五分前の自分に教えてあげられたらいいのに、と思った。

昼間の顔と夜の顔を、使い分ける私たちのおかしさったらない。
なんでもない顔をして触れる指先に、気付く君の満更でもない様子に悦。
選ばれている自分に酔っていることやキスやセックスや恋人ごっこで好きだと勘違いしてくれたら、それだけで良いのだ。
いつかいなくなる君が、ずっといなくならないでくれたらいいのにと思えたらそれで良いのだ。

触りたい気持ちと人間の匂い。
ごめん、と言いながら射精する君の息遣いとか声とかを、反芻して反芻して反芻して自家発電。
誰にでもなんて思ってないよ、と言われると悲しくなって、本当に?って口にしてしまわないように噤む。
君だけだよって言えないのは君が私だからじゃないからだよ。
自己肯定感の低い私たちの御伽話の終わりがこなかったら、その時はもしかしたら少しくらいは君は、



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どこかの誰かが言うフェロモンとやらがどうか君に作用しますようにと思っている。
おやすみのキスの代わりに頬にキスをしてくれる君の、良い匂いのする首筋と甘やかしてくれる温かい胸を思い出して目を閉じる。


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