愚図

酩酊する


抱き締められながら頭を撫でられる。
隙あらば私を寝かしつけようとするこのひとの腕の中は柔らかくて温かい。
精査して精査して精査して、それでも君が会いたがるうちは可能な限り会いたいのだ。
末永く、出来得る限り。
いつかいなくなってしまう君がいなくなるまで。


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あなたを悲しませるようなことはしない、などと言われて悲しくなる。
最悪の状況って何?
考え得る限りの最悪を頭の中に並べる。
もうとっくに軽口を叩けるようになってしまっているから、というこのひとのガードと、私の軽率。
一日に一度は触りたいって言うけれど、そんなものはお互い様だ。

いつだって簡単に夢を見る私の、一体どれほどが本当のことだというのだろうか。
変わらないままでいたいと口にしたって変わってしまうのは私ばかりで、お菓子みたいな男の子たちの愛だの慈しみだの真心だのを切って掃いて捨てて日々を過ごしている。
いつかこのひとに触れるだろうかと思ってからの運びは概ねスムーズなのに、身体でばかり繋がりたがってしまう私に君たちは傷付いたり落胆したりして、悲しそうな顔でこちらを見ている。
色とりどりの恋はいつまでも続かなくて、こんなはずじゃなかったのになあなんてごちるのだ。
それでも君は特別?と聞いてしまうのは、覆されることを望んでいるのかもしれなかった。
帰り際のキスは当たり前になって、ごめんなさいとありがとうとおやすみまた明日。
好き好き大好き超愛してる以外の全て。




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