愚図

決壊する


もう何度目かも分からないこれではだめだ、と懺悔の夜。
痣だらけになってしまうからやめようねと守られない口約束を簡単に破って、少しだけ、と触ってしまえばもう合図でしかないのだ。
私たちはセックスばかりしている。

擦り寄れば頭蓋を寄せてくれる可愛い君の匂いの中で私はこのままでいられたらいいのに、と思う。
目を細めて好き好き大好き超愛してる、抱き合うだけの日常を一体いつまで望んでくれるだろうか。
君のいない一日を寂しがるとごめんね、と言われて余計に寂しくなってしまうのだ。
こんな時間にどこかに出掛けて行く君を見送って、ひとりで走る真っ暗な海岸線。
誰にでも出来る昼の仕事と、誰にも言えない夜のこと、どこにも行けない哀しみと、どこにも行けないあたしのこと。
大きな声で歌いながら悲しい気持ちを打ち消すように家に帰る。
どうせ大して眠れない夜を眠る。


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