愚図

シャドウ.


当たり前に擦り寄っても当たり前に頭を撫でて首を絞めてくれるこのひとの、分かりやすい許容と拒絶が好きだ。
邪魔して良いんだよと言われて悦になる。
きちんと触ってくれて触らせてくれることの喜びはなにものにも代え難い、と思う。
冷めちゃったの?と聞くこのひとが本当に全く分かっていないのだろうかと疑問に思うけれど、冷めても言わないでというのは一体どういう意味なんだろうか。
冷めても一緒にいてくれるの?


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どうだっていいと思ってるでしょう、は呪いになって、本当にどうだっていいと思うような気がする。
私を冷たい女だ、と詰ったバンビは今でもそう思っているのだろうか。
もうほんの少しも思い出せない、と思っているけれど、それでも髪の硬さや小さな肩をきちんと思い出す。
どこもかしこもつるりとして美しく、私の元に置くべきものではないと心から思った。
バンビが本当に望んだものが何だったのか、私は今も分からないままだ。
愛さなかった罰だろうか。

いつだってきちんと愛している誰か達の一体どれが本当のことだったかも、きっとこの先分かり得ることはないのだ。
ずっと一緒にいるつもりだった、と言う男のひとたちは何をもってそう思うのか、一体何故私なのか、知りたいと思うのは純粋な興味本位であって、だからどうやら私は冷たくなってしまうようだ。
(それでも誰ひとりとして私がひとりぼっちでいることよりも必要だと思える程になろうとはしなかったのに。)



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