占い師が「手相占いは聖書にも書いてあるんだ」というブログを載せていまして。『神は人の手に符号もしくは印象をおきたまえり。そは、これによりすべての人に彼らの職分を知らしめんがためなり』なのだそうです。引用元をきちんと書いてないので確かなことは分からないのですけど、どこから引用したのだろう…。
ヨブ記37章7節に『神がすべての人の手を封じるので/人々は皆その御業を知る』とはある(聖書協会共同訳)けどここかなぁ…。だいぶ文面が違って見えるけど。文語訳聖書のような文面だから文語訳で読んでみる。
『斯かれ一切の人の手を封じたまふ 是すべての人にその御工作を知しめんがためなり』と文語訳聖書にはある。やはり文面が違うということはやはり別の個所からの引用なのだろうか。
『ルビーL 恋も仕事も占星術で開運』という占い師のブログによると「ヨブ記箴言書3章」からの引用らしいのだけど「ヨブ記なのか箴言なのかどっちなんだい」となってしまう。念のためヨブ記3章と箴言3章も確認したけど該当箇所はなし。
「もしかしたら外典かなにかに『ヨブ記箴言書』というものがあるのだろうか」とググってみたんだけどそういう書はなさげだなぁ。
手相の本にも「聖書は手相占いについて語ってたけど新しい訳でわけわからん記述にしてしまった。占いはよくないという自分の信仰に合わせた臆病な奴らだ」という趣旨の(学術的な本文批評ではない)ずいぶんと感覚的で自説に合わせた意見を読んだことはあるので、おそらくどこかには該当箇所があると思うのだが…。
立ち返ってヨブ記37章7節の他の翻訳も調べてみるか。
『人の手の業をすべて封じ込め/すべての人間に御業を認めさせられる』これが新共同訳。
『彼はすべての人の手を封じられる。これはすべての人にみわざを知らせるためである』これが口語訳。
うーん、この箇所は「人のやることではなく神がその仕事を人に知らせる」って感じの文面だなぁ。となるとやはりヨブ記37章7節からの引用ではない感じだな。
ChatGPTにも該当箇所があるか聞いてみる。
「いいえ、その文面は旧約聖書には存在しません。提供された文面は聖書の特定の箇所から取られたものではなく、私の知識ベースにも含まれていません。旧約聖書には多くの異なる書物が含まれており、それぞれ異なる文言とテーマを持っていますが、提供された文面は特定の聖句や箇所とは関連していないようです。もし特定の聖句や箇所に関する情報が必要であれば、具体的な箇所や聖句を教えていただければ、お手伝いできるかと思います」
との回答。AIの精度が分からないので鵜吞みにはできないとはいえ、簡単に引用できるのなら該当箇所は提示してくれると思うのだが。
そのままChatGPTに「聖書は手相占いについて語っていますか?」とも聞いてみたけど「直接的に言及する箇所はありません」とのことだったし。調べ方が悪いのだろうか…。
聖書は通読したことがある(聖書協会共同訳)のだけれど読んでいて「おお、聖書も手相占いについて語っているんだな」と感じた箇所はなかったしなぁ。
私ではこれ以上に詳しいことは分からなかった。占い師さんは聖書のどこを読んだのだろう。