目頭が熱くなった。なんて儚い純愛なんだろう、と繊細な言葉の一つ一つに胸が鷲掴みにされた気がしました。大人になるということは、嘘を纏うことなのかもしれないと、切なさを噛み締めながらページを捲り続けました。僅か数十ページだというのに、そこに溢れる物悲しさに何度も何度も心を揺さぶられ、気づけばノスタルジックに浸っていて。そんな柔らかくて、ちょっぴり酸っぱい痛みに包み込まれました。
 なぜ、美鶴の選んだカクテルドレスがあの色なのかを考えた時、翠、を思い出して、途端に涙が溢れました。淋しくて苦くて、でも懐かしい甘さがあって。本文中に出てくる沢山の色の名前がウェディングドレスの白とコントラストになって映えている気がして、そこでもまた、色んな解釈ができる。読めば読むほど深みの増す色彩。読み手によって、あらゆる見方が出来る、感慨深い作品でした。この何とも言えない淡さが愛おしくて仕方がなかった。芯があり、でもどこか憂いに満ちた美鶴。そんな彼女が幸せになることを願っています。
 素敵な作品をありがとうございました