二人の男子大学生と能楽師の幽霊が、大学の能楽部サークルでぐだぐだします。

物語全体のあらすじ


 舞台は地方都市にある公立大学。

 それなりに都会らしいところもある場所だが、東京に比べればやはり田舎な土地である。


 秋仁は浪人して挑んだ二度目の受験に失敗し、滑り止めとして受けた大学に仕方がなく通っている。暗い気持ちでサークル勧誘を避けて大学構内の裏庭を歩いていると、謎の歌声が秋仁の耳に聞こえてくる。


 歌っていたのは古風な和装の美青年で、秋仁は思わず見惚れてしまう。しかし実は彼は能楽部の部室に憑りついている幽霊・透燐であり、ちゃんと生きている部員の圭とともにサークルの勧誘をしてくる。

 透燐は圭に憑依し再び舞台に立てば自分が成仏できると考えているらしく、秋仁にその舞台の地謡(バックコーラス)になってほしいと頼む。

 またさらにただ一人の部員の圭に透燐の姿が見える人間は珍しいのでぜひ入部してほしいと熱弁され、秋仁は透燐が成仏するまでの期間限定と条件をつけながらも渋々入部する。

 これでこの能楽部は、部員が二人と幽霊が一人になった。


 不本意な大学の不本意なサークルでの活動であるので、最初は乗り気ではない秋仁。だが能楽の世界は興味深く、また圭と透燐と過ごす時間が思いのほか楽しいので、秋仁は能楽部での活動が好きになっていく。

 その後夏休みが過ぎて新学期になり、三人は初舞台として大学の文化祭のステージに出ることになる。透燐はそこで成仏する予定であるので、三人は入念に準備を進める。


 全ては順調に進んでいたが、ある日秋仁は高校の同級生に再会する。彼は秋仁の進学先と所属サークルを「浪人してこの結果か」と揶揄する。忘れかけていていたコンプレックスを刺激され、秋仁は狼狽し「俺だってこんなところに来たくはなかった」と発言してしまう。しかもその場を圭に目撃され、秋仁はさらにいたたまれない気持ちになる。秋仁は声をかけようとする圭から逃げだし、顔を合わせられなくなる。

 ほんの些細なことをきっかけにこじれた秋仁と圭の関係。圭は何も気にしていないが、秋仁が一方的に意地を張ってしまう。だが透燐が二人の間を取り持ったことで秋仁と圭は仲直りし、三人は再び文化祭のステージに向けて稽古をする。


 そして初舞台は成功に終わった。結局透燐は自分の意思で成仏せず、三人の能楽部活動はしばらく続く。