時は、戦国中期。

常磐色の瞳を持ち、顔に醜い火傷をおった天涯孤独の幼姫吉乃。城主の夜這いを拒んだが故に「病に伏した兄の元へ戻れ」と護衛の忍、才四郎を一人付けられ、匿われていた城を追い出されてしまう。しかし里帰りは本意ではなく、腹いせとして、忍には密かに吉乃暗殺の命が下されていた。

 吉乃は内心…

 その城は、畿内の湖の畔にある。


 城下に広がるその湖には、美しい女人の姿をしたあやかしがおり、その姿を見たものは最期、身も心も奪われ命を落とす……という噂を話し半分で聞いたことがあった。



――まさか、そのあやかしが、自らの前に姿を現そうとは。