時は現代。
古来から日本に住む物の怪たちは、日々進化していく世界から隠れ、人間との争いを避けるために知恵のあるもの、力のあるものは人の形の保ちながら現代社会にうまく溶け込み暮らしていた。
幼い頃から人には見えない物の怪が見える少女こよみは16歳の誕生日を境に力を欲する悪鬼に襲われるようになる。彼女を助けたのは臨時講師として高校にやってきた孤々宮だった。彼の正体は、1000年以上前から存在する狐の妖だという。
孤々宮の話によると、こよみは約1000年前から輪廻転生を繰り返してきた珍しい魂で、悪鬼たちは長く熟成された彼女の魂を欲しがっていると。
普段から人間と物の怪がバランスよく生きるために管理をしているという孤々宮。こよみのことを悪鬼たちから守ることに。
そんなある日、孤々宮の友人の男が現れ彼女に告げる。
彼はとある人間と妖の恋の物語をこよみに話す。
1000年前。まだ人と妖が恋をすることを禁じられた時代。とある狐と女が恋に落ち子をなした。それを知った神は怒り、二人を引き離すと呪いをかけた。女には輪廻転生を繰り返す呪いと狐には別の呪いを。
それから長い間、狐は女が生まれ変わるたびに探し見つけ、喜びと絶望を味わってきた。
在るときは死の寸前の老婆であり、在るときは人に忠実な犬であったり、また在るときは100年咲き続ける美しい桜だったりと。それでも狐は待ち続けてる。また出会える日まで。
彼は言った、これはこよみと孤々宮の話だと。
こよみがその話を知ってから、孤々宮はタガが外れたように彼女に言い寄り始める。生徒と教師という間柄でありながらもこよみは孤々宮に少しづつ惹かれていく。
そして、ついに二人は結ばれるのだが、神様が与えた孤々宮への呪いが発動し二人は再び離れ離れに。
それでもあきらめないこよみ。もう一度、孤々宮とともにあるために呪いと戦う覚悟を決める。なんど離れようとも、終わりがこようとも彼は1000年ものあいだ私を待っていてくれたんだと。
孤々宮の愉快な仲間の物の怪、暦の周りの優しい人間たちに囲まれて、時には神様までもまきこんで、二人は1000年の時を経て再び共に生きることができるのだろうか。
1000年前から続く恋物語。