20歳を迎えた女子大生・花園円華は、友人たちと共に郊外のペンションへ訪れていた。しかしその夜、彼女は忽然と姿を消してしまった。事件か、それとも本人の意思による失踪なのか。警察は消息を絶った円華の行方を追うが、早くも捜査は打ち切られてしまう。幼馴染みの降谷真尋は、彼女の自宅アパートに残された1冊の手…




私はただ、返して欲しかった。


ランドセルを背負い、

無邪気に友人たちとたわむれるあの頃を。


そして与えて欲しかったのだ。


未来を欲しがる自分自身を。




これから起こりうる

全ての幸福を支払ってでも、

私は再び、あの過去を手に入れたい。


美談にならずとも修正し、

掴まれた腕を振り払う自分を

今度こそ 守り抜きたいから────。



対岸にいる彼のために。