恋愛初心者のわたしと、恋愛不適合者のあなた。
その関係は偽物でも、いつか本物を知る日は来るのでしょうか。


去年朝ドラのヒロインを務めてから、一気に清純派女優として人気を得た倉木采花くらきさいか。彼女は忙しい日々の合間を縫って、古い映画館を訪れていた。


女優を目指すきっかけともなった映画を見終わると、そこにはいつもの常連客ではない見慣れない男がいることに気づく。売れない脚本家の新川朔しんかわはじめと名乗った男は、采花が女優であることに気付かなかった。采花は偽名を名乗り、女優志望の一般人を装う。


采花は清純派女優として売れていたが、事務所の方針としては素早く清純派から実力派にイメージをシフトし、役柄も様々なものに挑戦できる女優を目指していた。そのため清純イメージの打破策として、来年公開の映画で采花は初の濡れ場を演じることになる。しかし恋愛経験のない采花はもともと恋愛シーンが苦手であり、どう演じようか悩んでいた。


悩む日々が続いた末、朔に悩みを打ち明けると、自分と経験してみるかと提案される。嫌なら断って構わないと言われたが、演技を磨くためには経験してしまうのが一番だと考え、朔とベッドを共にする。


采花は今まで朔を映画館でしか見かけたことがなかった。しかしスタジオやドラマで共演中の城之内昴じょうのうちすばるに誘われた舞台の劇場で見かけたことを話すも、曖昧に返される。普段はふらふらしているという売れない脚本家。来るもの拒まずで、恋愛感情がわからないという。采花は朔が本当はどんな人間なのかわからなくなっていた。それでも謎が多いからこそ、好奇心は刺激された。


采花は演技の上での表現力を磨くため、朔は恋愛ものの脚本を書くため、恋愛初心者と恋愛不適合者は恋愛の何たるかを知るために恋人ごっこを始める。2人は再び夜を共にしたりデートに出掛けたりしながら、普通の恋人のように過ごす。


そんな中、采花と昴の熱愛報道が出る。交際の事実はないとはいえ、誤解を招いたため事務所からは釘を刺されることとなった。采花は朔との関係がバレてしまえば、もっと大ごとになるかもしれないと考え、朔と会うことをやめる。


しかし季節が変わる頃、采花は思ってもみなかった形で朔と再会することになる。中断していた恋人ごっこが再び始まり、2人の関係は季節と共に変化していった。