私を見つけないで。

作者ナザリオ

「ねぇ、恋って何?」


「突然だね。もう、そんなものを気にする年頃になったの」




その人は、感心したように言葉を溢しながら、他の大人とは違って茶化す事なく、ただ私を見下ろしていた。




「恋は、暴力だよ」


「痛いの?」


「痛いよ。もう、死んでも良いって思うくらい」



表情の無い顔が、そこにある。


光の無い、焦点の合わないガラス玉に自分の姿が見える。



「じゃぁ、何で生きていられるの?」


「分からない」



首を傾げるその人は、徐に空を仰いだ。


その目が太陽の陽を受けて一瞬だけ、光を帯びる。




「だけど、あの人がくれた宝物があるから。生きていられるの」



そう呟いたその人は、薄く笑みを浮かべた。


眩しいくらいに美しくて儚げで、羨ましいとすら感じる程に、目を奪われた。












そして、その人は。













今は、何処にも居ない。