剣を持ち、精霊を従え、龍を召喚した。ただ、欲しかったものはそんなものじゃなくて、揺るぎない愛である。

物語全体のあらすじ


 二国にこくの王は、頭を抱えていた。未開地の魔族との戦いに戦士は命を落とし、土地は奪われ、作物は枯れる。二国の王、西国の王は辟易していた。二国間で睨み合っていても仕方ない。今、互いにとって最大の悩みの種は未開地から迫ってくる魔族だ。西国の王は、決意した。平和条約を制定し二国間同盟を結ぼうと。


 アズールは、西国の戦士の子として生まれた。活発な子どもで、自分も父や兄のようにいつか戦士になることを夢見ていた。

 アズールには秘密があった。

 二国の境には『閑かなる碧い湖の森』という名の森があった。その名の通り、小さな碧い湖がある。

 アズールは、そこで一人の少年と出会った。黒い髪と黒い瞳を持つ少年だ。アズールは一目見て彼が東国の人間だとわかった。兄や父から東国の人間は髪も目も闇色をした人間ばかりだと聞いていたからだ。

 だが、彼はその容姿とは関係なく、太陽のように笑う少年だった。

 二人はこっそり会っては剣や魔法の練習をした。二人が惹かれあったのは互いの夢が同じ戦士になることだったからだ。


 ある日の事件をきっかけに二人の逢引は引き裂かれた。

 アズールは心にも体にも傷を負った。だが、戦士になるという夢だけは消えなかった。


 幼い頃抱いていた父や兄への羨望がアズールをそうさせたんじゃない。ただ会いたかった。闇の中で太陽のように眩しく笑う彼にもう一度会いたかったからだ。


 富と名声?権力?そんなものはいらない。

 魔法も剣も、全部ただの手段だ。

 この道を進めば、君に会える。

 それだけで、生きていける。