時は平安末期。笠を深く被った孤独な少年アオバは、国を揺るがす秘密を抱えていた。その秘密とは、かの有名な妖怪である「妖狐」が人間に化けて都町に潜んでいることであった。彼は狐の化け術を見透かす能力をもっていたが、過去の事件のトラウマから、狐の存在を誰にも明かさなかった。しかし、そんな彼の前に突然人間に…

時は平安時代末期。平安京の栄える都町では、残虐非道を繰り返して大国・殷を滅ぼしたという『九尾の狐』が、次なる標的・日本国の滅亡を図りながら身を潜めていた。民衆で賑わった平和な都町に狐が人間に化けて潜んでいることなど誰も知り得ないはずだった。彼だけを除いては――――。


狐の化け術を唯一見透かす孤児の少年アオバは、過去の事件のトラウマから狐の存在について沈黙を守り続けたが、ある日突然彼の前にとある狐少女が人間に化けずに姿を現す。初めて見る化け物に辺りは騒然とするが、彼だけは異様に落ち着いていた。


「なぜ化けない?」


アオバの問いかけに狐少女は不敵にほほ笑んだ。その出会いを待っていたかのように。



一方、狐の出現に、秘密組織である退治屋が狐少女を暗殺しようと動き始める。退治屋との過去の因縁を持つアオバは、訳あって狐少女と共に逃亡することに。退治屋はアオバと狐少女を追い詰めるが、その最中でアオバの首元に既視感のある古傷を見つける。それは一年前、狐の正体を暴き退治した後に行方知れずとなった「幻の英雄」のものだった。


退治屋から逃げ切ったアオバは、逃亡先で狐少女の内面に触れて自らの過去を顧みる。アオバは過去に家族同然だった少年を見殺しにしてしまったのだった。共に生き、共に死ぬ、という少年との約束通りに、後を追って死のうとしていたアオバは、狐少女に出会ったことで彼女のために生きることを約束する。しかしその一方で、退治屋は「幻の英雄」の生存を確信し、アオバを狐退治に利用しようと動き始めていた。


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貴族の栄える平安京の舞台裏で、己の正義のために暗躍した笠少年と狐少女の人生譚がここに始まる。