大天使ウリエルは、普段地球にいない存在でした。しかし何百年に一回は人間と触れ合うことのある気紛れな天使でした。ある日の夜、砂漠で一人佇んでいると、馬に乗った青年と出会います。彼は砂漠にあったかつての砦の国の王様でした。ウリエルが心の目で彼を追うと過去に戦争で亡くなっている景色が見えました。そこで嘆…

正統派長編中世ハイファンタジー(本編から一部抜粋)


 それは、旅の道なかば、気まぐれに降り立った白く瞬く地でのことだった。

深く藍色の夜空に三日月が浮かび、ほのかな灯しが純白の砂丘の上をキラキラと輝いていた。


冷麗な彼女に、すっかり時を忘れ見惚れていると、背後から生暖かい風がふうと私の頬をかすめ、次に真横をまたふうと何かがかすめていった。


咄嗟とっさに振り返ると、遠くに、どんよりとした雲か霧のにじんだ点が、次第にゆっくり形をとってふくらみ、そのうちに、一頭の立派な馬と、馬にまたがった一人の青年の姿となった。


この目は見張ればどこまでも見える。


金と銀の甲冑かっちゅうに身をつつみ、頭には輝く黄金色の太陽の角、肩にかかる外套はきらめきの貴石に飾られて、虹色に光る鳳凰の尾羽が柳のように垂れ下がる。顔は鷲のごとく鋭い眼差しに、逞しい肉体に宿した良質な魂の輝きが内から流れている。


風神を操り軽やかに宙を舞うように馬を操る。なんと艶やかで煥乎かっこたる様。


この煌めく外套に、すっかり心をうたれ、いやだが、礼儀を怠ってはならぬと、まずは夜空の彼女に一礼し、それからまた向き直って、心眼にてこれを追うことにした。