新月の夜はあなたを探しに

作者蝶野ともえ

月下葵音(つきした あおね)の元に突然知らない女が表れた、声掛けられる。
平星黒葉(ひらぼし くろは)という女は、神秘的で不思議な人だった。

ひょんな事から、独身30歳の男の家に潜り込む事になった黒葉との共同生活が始まる。

けれど、彼女には秘密があった。
彼女を知りたいと近づくと、彼女は遠くな…






   プロローグ





 もしも、なんて言葉は使いたくないけれど、あの日からよく考えてしまう。



 もしも、普通にあなたに会えていたならば、一体どんな出会いだったのだろうか。

 どんな言葉を交わし、どこに惹かれて、どんな風に恋をしたのだろうか。



 そんな運命的な出会いも憧れるけれど、私は今のままでいいのだ。

 だって、あなたを…………出来るのだから。



 もしも、だなんてもう願いはしない。

 だから、お星さま、運命を変えないでください。



 あの日までは。