君が知らないこと

作者長瀬あいる

離れ離れで育った兄妹。
事情を知らない妹が兄に恋をする。
愛しても触れてはいけない切なさ。
触れて欲しい女の哀しさ。
愛し合った先に、未来は見えない。
それでも消せない気持ち。

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 ろくでなしの父親が死に、遺品整理をしていると、古い写真を見つけ、千秋は別れた母親を思い出す。


 そして、1歳にも満たない妹がいた事を思い出した。母方の祖母が営んでいた喫茶店があったことを思い出し、ふらっと近くに足を運ぶ。

 母親がいない事を確認し、思わず中に入る。

暇な時間帯のようで、若い店員が1人いるだけ。

 名札を見てみると、妹が美冬という名前だったと思い出す。


 歳が離れており、幼かった妹には、父親のこと、兄がいたことを知らせていないだろうと生前、父は言っていた。

 母親に会うのが気まづく、コーヒーを飲み、足早に店を出る。

 急いでいたせいか携帯を忘れてきてしまい、思いがけず、妹と再び会うことになってしまった。


 兄と知らず、千秋に興味を持つ美冬。

 事情を知らない妹に、戸惑いながらも、冷たく出来ず、距離を縮めていく。


 自分に好意を持っていると気付く千秋は、このままでは良くないと思い、美冬を突き放す。


 それでも、千秋が好きだと言う美冬に、兄だと言い出せず、冷たくする事も出来ず、曖昧な態度をとってしまう。

 

 記憶に残っていない妹が、一人の大人の女になっており、今さら妹と思えない千秋。


 全て、ろくでなしの父親のせいだと父親を恨みながらも、美冬に会いに行ってしまう。

 

 一線だけは越えてはいけないと、自分に言い聞かせる千秋。関係を望む美冬。

 それでも、触れたくなる愛しい存在。

 2人の関係はすれ違っていく。