「秘匿の女王ー汝、百合の王冠を手にせし者よー」

作者谷守紗季

 12世紀。それは、パリ周辺の少領を治めるカペー家が、フランス王位を継承していた時代。
 当代のフランス王ルイ七世の病状悪化に伴い、王宮内では宰相ブロワ伯と新参のフランドル伯との間で、権力闘争の兆しが見え始めていた。
 宰相の妹でフランス王の后たるアデルは、北フランスのラ・ヌーで暮らす我が娘アデラ…

 『百合の王冠は、女の手に落ちない』そう言い伝えられているが、果たして、それは真実だろうか?

 後世の歴史にて、フランス最初の偉大な王『フィリップ・オーギュスト』は、英国王リチャード1世と同じ皿から料理を食べて、

同じベッドで寝たとある。

 

 戯曲『冬のライオン』をはじめとして、二人の関係を『男性同士の恋愛』だと見なしてきた。


 もしも、『フランスに女王は存在しない』が偽りだとした場合、二人の王の関係は違う側面を持つ。

 それが、この『物語』を紡ぐ動機でもある。