順風満帆な日常生活を送っているように見える主人公のあかりちゃんの前に現れた男の子・蒼井くん。彼からここは本当の世界ではないと告げられて、冒頭の周囲とのうまくいきすぎるくらい平和で幸せなやりとりへの小さな違和感が徐々に紐解かれていき、だからこんなにもうまくいっているのかと衝撃でした。蒼井くんの言葉によって少しずつヒントを得て、現実と異なる点が明らかになっていくことに目が離せませんでした。
蒼井くんのいう現実と、あかりちゃんの今見ている世界との〝違い〟の仕掛けによって、人間関係について考えさせられます。誰がいつどうなるのかなんてわからなくて、誰にだっていじめを受ける側にも加担してしまう側にもなる可能性がある。ふたつの異なる世界を知っていき、受けとめて進んでいくあかりちゃんの姿が眩しかったです。そして蒼井くんが、この世界であかりちゃんの背中を押すシーン、素敵でした。かっこいい。誰かといることを覚えた蒼井くんと、自分の気持ちを自覚して認めたあかりちゃん。現実の世界でのふたりがどうかこの先も一緒に歩んでいけますように。