前触れもなく勤務先が倒産し、無職という現実に絶望していた浅井智晶《あさいちあき》は気晴らしに有名劇団の演劇を観る。千晶が演劇をちゃんと観るのは小学生以来、約20年ぶりの観劇は衝撃的で、舞台に関わる仕事を探してみようと考えるほどだった。そうして転職サイトで見つけたのは、2.5次元舞台を中心に手がけ…

物語全体のあらすじ 


 前触れもなく勤務先が倒産し、無職という現実に絶望していた浅井智晶あさいちあきは気晴らしに有名劇団の演劇を観る。千晶が演劇をちゃんと観るのは小学生以来、約20年ぶりの観劇は衝撃的で、舞台に関わる仕事を探してみようと考えるほどだった。そうして転職サイトで見つけたのは、2.5次元舞台を中心に手がける株式会社Flapの制作(テレビでいうADのような仕事)募集の求人。勢いで応募すると、とんとん拍子に採用は進み、智晶は舞台制作として働き始めることになったのだった。


 Flapは舞台制作会社とは弱小もいいところで、それまでに手がけた舞台は2本と決して経験豊富なチームではない。その構成メンバーはマスコミ業界に謎のコネを持つが舞台の知識はあるとは言えない社長の長谷部淳司はせべじゅんじ、前職はアパレルの宮原雛みやはらひな、そして唯一の舞台経験者である中堅小劇場劇団出身の小高智弘こだかともひろの3名だった。そして、Flapの社運をかけたプロジェクトとして約1年後に人気乙女ゲーム『紅蒼鬼べにそうき』の舞台化が決まっており、智晶も先輩社員とともに『紅蒼鬼』の舞台に制作として1から参加することになった。


 華やかに見えていたテレビの芸能界と地味で多忙な舞台制作のギャップに戸惑いつつも、智晶は舞台『紅蒼鬼』上演準備のために奔走するが、そんな智晶をあざ笑うかのように次々とトラブルが発生する。なかなか決まらないオーディション、『紅蒼鬼』原作サイドから脚本に対するダメ出し、公演チラシの誤字、役者・事務所からの無理難題、自分の世界観を押し通そうとする演出家、合わない役者のスケジュールと稽古場の予約、発表された舞台化に対する原作ファンからの非難、チケット転売問題の勃発、コアな役者ファンからのクレーム、間に合わないグッズ製作、倒れるスタッフ、本番間近で対立する演出家と役者。智晶は制作進行の同僚やプロデューサー、演出家・舞台監督・照明・音響等の舞台スタッフや役者たちと時には力を合わせ、時には対立しながら様々な問題を解決し、舞台『紅蒼鬼』を上演しようとする。


 ”なぜわざわざ舞台化なんかするのか””実写化はいらない”……これは、流行っているけど多くのアニメ・漫画ファンが全然知らない2.5次元舞台の夢と理想と現実とかがちょっとだけわかる物語。