【シナリオ大賞用の作品です】

恋愛に消極的な大学生・六藤 結衣(むとう ゆい)は、友人に無理矢理連れていかれた合コンで先輩に絡まれている所を、中学時代の同級生・武藤 綾人(むとう あやと)に助けられる。

同じムトウ同士の二人は、中学時代に『恋愛の練習』という名目で“キス”をするだけの関係を続け…

【物語のあらすじ】


恋愛に苦手意識のある大学生、六藤むとう 結衣ゆいは、ある日友人からの誘いで無理矢理合コンへと連れ出される事になった。しかしなかなか周囲のノリに馴染めず、逃げるように一人になった途端、メンバーの一人である先輩に「二人で抜け出そうよ」と強引に迫られてしまう。


強面な先輩の誘いをどう断ろうかと躊躇う結衣。するとそこに助けに入ったのは、偶然その場に居合わせた中学時代の同級生・武藤むとう 綾人あやとだった。


三年時のみ同じクラスだった中学時代、苗字が同じムトウであったために、周りから『無糖シュガーレス夫婦』と呼ばれてからかわれていた二人。しかも当時の綾人と結衣は、誰にも言えない“秘密の関係”を築いていた。


それは、放課後の非常階段で『恋愛の苦手意識を克服するため』という名目を打って繰り返していた、キスの練習。

二人は中学三年の秋から卒業するまでの半年間、放課後にただキスをするだけの関係を築いていたのである。


そんな綾人の助けで合コンから連れ出して貰えた結衣は、何かお礼をしなければ、と彼を連れて近くのカラオケ店へと足を運んだ。だが、室内に入り込んだ途端、檸檬味の飴玉を口に放り込んだ綾人の態度が突如急変する。


──彼が檸檬味の飴玉を噛み砕いたら、キスが始まる合図。


不敵な笑みと共に迫る綾人に唇を塞がれ、“練習”と称したキスの時間が、五年の歳月を経て再び始まってしまう。

けれどその練習は、五年前とは比べ物にならないほどに激しさを増していき、ついには衣服の中にまで手が侵入してきた。怖くなった結衣はつい綾人を突き飛ばし、そのまま逃げ帰ってしまう。


綾人のキスには、愛なんてない。シュガーレスな私たちの関係に、甘さなんてない──そう自分に言い聞かせる結衣だったが、本当はとっくに気付いていた。

五年前からずっと、彼との思い出がどうしても忘れられず、新たな恋愛に踏み出せずにいた事を。


そんな綾人とのキスを引きずったまま日々を過ごしていたある日、結衣は再び綾人と再会し、徐々に連絡を取り合うようになる。


複雑な心境と中学時代の思い出を抱えながら彼との時間を過ごしていくうちに、あの頃の檸檬色の思い出の中で、二人の間では小さな誤解が生じていた事が発覚するのだった。


これは青春時代の片隅に置き忘れた、“無糖シュガーレス”同士の檸檬色の初恋が、その実を結ぶまでのラブストーリー。