行き遅れの財閥令嬢・綾乃は嫁ぐことに、東南アジアの秘境の富豪の元へ。そこには彼のためのハレームがあった――
 ここでの妻の価値は男児を産めるかだけ。綾乃は性の手ほどきを受けたことで寵愛をもらえるようになるが「私たち女は本当はどこを触られたいのか?」を知りたくなっていく。

一夫多妻制の暮らしの中…

物語全体のあらすじ

 

 20世紀初頭、東南アジアの緑深い秘境の人里。日本からその地に嫁いだ財閥令嬢がいた。

 行き遅れの綾乃(25)は、会社の生糸を現地に輸出する商談締結と引き換えに異邦の絹織物職人の大元締め一族・トアン家ご当主の妻になることに。

 到着したのはトロピカルな自然に囲まれたベトナム的な庭園屋敷。そこはまだ西欧にも日本にも植民地支配されておらず、綾乃の目にはまるで桃源郷に見えた。

 桃源郷……しかし、それは男にとってのものだった。

 綾乃は愕然。自分は第三夫人だったのだ。

 ここは当主の後継ぎとなる、より若い男児を産むためのハーレムで妻たちが共同生活させられていた。


 自分が夜伽できねば代わりに実家の妹のどちらかが輿入れさせられる。自分に興味のない当主に気に入られるため綾乃は性の手ほどきを受けていく、第二夫人・サリューから。


 妊婦のサリューは、自身の体を優しく絡め男の情欲の昂ぶらせ方を教えてくれた。

 姉妹のような二人によるそれは、まるで禁断の愛のレッスン。

 それを覗く青年がいた。第一夫人の長男・ジェウだ。


 第一夫人・リネンが夜の務めを拒絶したことをきっかけに、綾乃は当主に気に入られる。

 トアン家は綾乃の破瓜の血のついたシーツを飾り彼女を家族に迎えた。


 打ち解けた綾乃はサリューとリネンと猥談する。

 「女を一番熱くし夢中にするには、どこを一番触ればいいの?」


 ある時、ジェウに自分が織った初めてアオザイを着てほしいと里の工房に行った綾乃を彼が――。


 綾乃はその帰り、リネンが見知らぬ若い青年と密林で逢引しているのを目撃してしまう。

 サリューの出産が迫る中、リネンとその子らはトアン家から逃げようとしていた。古い慣習に縛られない外界へ。

 ジェウは綾乃も連れていこうとする。綾乃もここは嫌いだ。だけど……。


 サリューのお産が始まると、リネンたちは間男の手引で屋敷から逃げていく。綾乃も彼らについていくが……。

 サリューの陣痛が最高潮になった時、彼女の隣には誰もいなかった。不安に襲われる彼女のもとに走って駆け寄ってきたのは綾乃だった。ジェウの手の振り切り戻ってきたのだ。

 そして、産声が上がる。微笑むサリューはいつぞやの綾乃の問いに答える。

「女を一番熱くし夢中にするにはね――」その意外な場所に綾乃は驚く。


 逃げたリネンたちは囚えられ罰を受ける。この地でトアン家から逃れることはできなかった。寺へ連れていかれる彼女たちを眺める綾那にも赤ちゃんが宿っていた。