2年目の高校生活にも慣れた夏、晴彦は有り得ない出来事に困惑していた。幼い頃、家庭の問題から逃げるように、何もかも忘れたくて夢中になっていたゲーム「ダンジョン・クラフターズ」の世界にいたのだ。 

 かつて“モンスターと暮らす理想の城”を作り上げた魔王だった晴彦の前に現れたのは、最初に手をかけて育…

物語全体のあらすじ


 2年目の高校生活にも慣れた夏、晴彦は有り得ない出来事に困惑していた。幼い頃、家庭の問題から逃げるように、何もかも忘れたくて夢中になっていたゲーム「ダンジョン・クラフターズ」の世界にいたのだ。 


 かつて“モンスターと暮らす理想の城”を作り上げた魔王だった晴彦の前に現れたのは、最初に手をかけて育てた兎の魔物、だいきちだった。懐かしい出会いを喜ぶも、だいきちが話すこの世界と自分が画面越しに見ていた二次元の世界とは大きな違いがあった。愛情を込めて育てた魔物達は人々の街を破壊し、世の全てを支配しようとしているらしい。そして、その指示を出したのは、他ならぬ“魔王”だと言う。


 魔物と会話する力、地形や道具をクラフト出来るプレイヤーとしての力、つまり魔王の力を持って転生した晴彦の他に、確かに別の魔王が存在している……。この世界の真実を知るために、晴彦は自分の力を“魔物使い”の能力と偽り、フィル、メイの一行と旅に出る。


 魔王の手掛かりを追えば追うほど、その恐ろしさを思い知らされることになる晴彦。更にその惨状は自分が育て上げた自慢のモンスター達が作っているという事実に、元魔王として罪のない人々の命を失わせたという重すぎる責任が伸し掛かった。晴彦は自分にしか出来ないこと、“この世界に生きる全ての存在を助けること”を決意する。


 その後、魔物に苦しめられる人々を助けるとともに、狂った世界に苦しめられているかつての仲間達を救済していく。魔物と人間を繋ぐことは容易では無いが、暗い人生を支えてくれた画面の中の魔物達を退治することは出来なかった。


 平和なはずの“晴彦の”ダンジョン・クラフターズの世界に現れた魔王は、人生に絶望していた過去の自分なのか、または強力な魔物の中から新しく生まれたのか。それとも全ては夢の中で、魔物使いとして人々に称賛されるためだけに作られた都合の良い存在なのか……。謎を追う晴彦は、ハルカスとの出会いにより、ある事実に気付く。


「別のゲームの世界と混ざってる……?」


 自分と同じ状況に置かれた人物が存在し、その人物の世界とクロスオーバーしている。そう考えた晴彦は、直接魔王に会う為に、幼かった自分が築いた“理想の城”へと目的地を決める。その道中で垣間見える晴彦の優しさと強さは、世界の希望となって行く。そして人として大きく成長を遂げた晴彦はついにたどり着く。残酷な真実の待つ、懐かしい玉座に。