プロローグ
あなたの声を聞きたい。
そう思ったのは、初めての事だった。
こんなにも恋しくて、早く会いたくて仕方がない。居ても立ってもいられなくて、夜中なのに家を飛び出してしまいたくなる。
そんな気持ちは初めてなのだ。
歌いたくなる気持ちでも、そんな衝動にかられる事があるが、歌えないことでこんなにも切なくなる事はなかった。
誰かを好きになるという事はこんなにも苦しくて、切ないものなのだ。
けれど、それを乗り越えて会ってしまうと、幸せに包まれる。
彼に中毒になってしまったように、欲しくて仕方がない。
それでも、止めたいとは思わない。
願わくは、彼の声が耳に届きますように。
そう祈らずにはいられないのだ。