極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

作者蝶野ともえ

畔(ほとり)は、とある病院で椿生(つばき)という男性と偶然に出会う。
偶然が重なり何度か会うようになるとお互いに惹かれるようになっていく。
けれど、畔の幼馴染みの叶汰(かなた)は良く思っておらず反対した。
実は畔は耳が聞こえないのだ。そんな畔が恋した椿は大手薬剤メーカーの社長。

畔は不安を抱えな…






   プロローグ




 あなたの声を聞きたい。



 そう思ったのは、初めての事だった。

 こんなにも恋しくて、早く会いたくて仕方がない。居ても立ってもいられなくて、夜中なのに家を飛び出してしまいたくなる。

 そんな気持ちは初めてなのだ。



 歌いたくなる気持ちでも、そんな衝動にかられる事があるが、歌えないことでこんなにも切なくなる事はなかった。



 誰かを好きになるという事はこんなにも苦しくて、切ないものなのだ。

 けれど、それを乗り越えて会ってしまうと、幸せに包まれる。

 

 彼に中毒になってしまったように、欲しくて仕方がない。

 それでも、止めたいとは思わない。



 願わくは、彼の声が耳に届きますように。


 そう祈らずにはいられないのだ。