ある日、女子高校生「空」の前に現れた「白鬼」を名乗る男。次の日学校に行くと「白鬼」がなんと転校してきていた。どうやら、白鬼はずっと前から空のことが好きだったようで...。空は白鬼との本当の出逢いの記憶を思い出すが、大人になるにつれて非現実的な記憶を忘れていってしまう空。それでも変わらず空を想い続け…

青春。アオハル、青い春。

青春っていったら、そりゃあ、青い、雲ひとつない空。光を帯びた空気。学校の正門から正面玄関につづく道の両脇に並ぶ淡いピンクの桜並木。桜の花びらが風に吹かれて、雨のように降っている。学校の校舎から聞こえる、フォーンと鳴る吹奏楽部の管楽器の音。桜並木の向こう側の校庭から聞こえる、ランニング中の野球部の掛け声。美術室の油絵具の匂い。体育館に打ちつけるボールの音と、床に滴り落ちる汗。一緒に登校してきた男女の笑い声。図書室の窓の奥には、真面目そうな生徒が参考書を積み上げて受験勉強をしている。綺麗に見える大人と子どもの境目の世界。大人になって振り返った時、この世界を眩しく感じるのかもしれない。

この青い境目で、

誰かは誰かを傷つけて、誰かは誰かを好きになる。

誰かは何かを捨てて、誰かは何かを求めている。

悩んで嫌って想って苦しい。

そしてそんな人間に憧れていた僕は、ある少女に恋をした。

これは、僕の好きな人が、僕を忘れていくお話。