緩く巻いた長い髪も、
フリルのついた洋服も、
ヒラヒラのスカートも、
大きなリボンも、
私には似合わないって知っている。
「九条って、男みたいだな」
あの日、放たれた悲しい呪縛が
私の憧れを心の奥に追いやった。
私は、お姫様にはなれない。
*
高身長の美形な女子高生
九条 忍
×
いつも寝てばかりいる美形な男子高校生
一ノ瀬 葉
*
「私が、王子様……?!」
お姫様になれなかった私が、
文化祭で王子様役を演じることに。
「愛美ちゃん、本物のお姫様みたい」
憧れのドレスを着るのは、
本当のお姫様だけ。
男みたいな私には、
どれだけ手を伸ばしても届かない。
「九条だって女の子だろ」
諦めたはずの憧れを、
君だけは手を離さずにいてくれたんだね。
「九条、それは可愛すぎ……」
「なっ……?!」
* 放課後プリンセス *
放課後の間だけ、魔法をかけて。