さつき邸 *君と空の、還る場所

作者魚澄にい菜

―――「だから私は、逃げる理由を作ってここに来たの」
名門・翔和高校へ進学した咲久は、とある"隠し寮"の住人になる。
普通の寮じゃない……そこは、秘めごとの多い男女共同寮だった。
「咲久ちゃんならやっていける……俺は、そう思うよ」
何を考えているか分からない家主、感情の読めない双子の兄妹、いつも心…

「そういうことなら、"うち"に来る?」


あの手が差し伸べられていなかったら

空を見上げていなかったら


私はこの居場所に、

出会えていなかったんだね。


:


「逃げ道だって、ちゃんと道だよ」

「だから私たちは、咲久に会えた」

「ちゃんと見てるから」

「試してみる?俺と……一度きりのキス」


:


あの日限りの空を、私は一生忘れない。


「ただいま」


ここは『さつき邸』

私たちの、還(かえ)る場所。