キスを落としたあとで。

作者水月つゆ

高校一年生のときに、一目惚れをした白石桃香(しらいしももか)。二年生になって好きな人と同じクラスになれたけれど、好きになった相手は人気者の、クールで少し冷たい永瀬弓弦(ながせゆづる)くん。恋に奥手な桃香は、頑張ろうと奮闘するが、なかなか距離は縮まらず。ある日、カラオケ店から連れ出されて「気づかない…



生まれて初めて

“一目惚れ”をしました。



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クールで少し冷たいきみは、

いつも誰に対しても塩対応。



笑った顔なんて一度も見たことがない。


心の内側に踏み込めない。



「俺、誰とも付き合うつもりないから」



どうすれば私、近づける?

どうすれば特別な女の子になれる?



近づきたいのに、近づけない。


触れたいのに、触れられない。


そんな距離がもどかしい。



けれど、



「おまえのこと好きだからだろ」



私を強く抱きしめる、優しい腕。



……ズルい。


そんなことされたら私、ますます好きになっちゃうじゃん。



「私のこと好き……?」


「好きだよ、桃香」



クールで少し冷たいきみは、

時々、甘くなるみたいです。