羽は、描かない

作者茉白いと

『もしわたしが飛んで行ったら、探さないでね。秋雨くんに見つかると、わたしまた、美化されちゃうから』そう言った彼女はきっと、羽が生えてしまったのだと思う。


ぱりん、ぱりん、硝子の破片が飛び散っていく。

砕けて、粉々になって、

まるで彼女のポケットにしまいこまれた蝉の抜け殻のように、跡形もなく崩れていく。