私は皆と同じ人間だ。
たとえ体の一部が欠けていたとしても。
どうして気味悪がるのだろう?
どうして笑い、ささめきあい、忌み嫌ってゆくのだろう?
その感情がこの私には理解できない。

ああ、皆を私と同じにしてしまえばいいのだ。
失って初めて気が付くだろう、ソレがどんなに重要であったか。

そうだな……

私には生まれた時から目がない。


ごめん。盛りすぎた。



目はある。でも片目しかない。いや正確には片目しか見えない、だ。


奇形児としてこの世に産み落とされた私は十二年を平和に穏やかに過ごした。


本来ならすぐに死んでいるはずなのに。



医者は奇跡だと言った。神様が助けてくれたんだって。



平和に穏やかにとは言ったが、その後の生活がどうだったか?





ご想像の通り、悲惨なものだった。


転校先の学校では右目に眼帯をしているだけなのに即虐めの対象となり、家族間では家庭内暴力が勃発。


どれだけのものであったかはここでは口に出すことができない。


三年間ずっと。


それを短いか長いかと思うのは人それぞれだろう。





とある朝、今日は待ちに待った卒業式という日。


悪の塊からやっと抜け出せるといった日。


第一志望校にも受かり、少し浮かれていたあの日をいつまでも忘れることはできない。



それはいい意味で?いいえ、悪い意味で。



その日はやけに両親が優しかった。


まぁ、顔色を見て機嫌を取ればいつでも優しかったけれど。


朝からそんなに物は入らないと言っても聞かず。


卒業祝いのご飯なんて普通は夜にやるものではないだろうかと。


だってまだ卒業してないのだから。


文句を言えばまた面倒になると思った私は、早急に箸を置いて椅子から立った。





その時だ。


急に眠気が襲って来て、ふらついた足取りで壁に寄りかかりその場に倒れたのは。


当時は二人共忙しそうにしていたので私の周りにはいなかった。



何故か声も出ない。



辛うじて見える左目から零れ落ちた涙だけが私がそこにいることを証明する為の物。





朦朧とする意識の中に見えたのは、銀色に鈍く光る二対の刃物。












「嗚呼、とうとう神様も私を見捨てになったか」