いちばん好きな人のことを、忘れてしまうという病がある。高校三年の五月、空き教室で出会った依理は、窓の外を見下ろして絵を描いていた。さびしそうな目は、グラウンドにいる嗣海の姿をさがしていた。「少し、こわい」彼女は十八歳になるころ、いちばん好きな人のことを忘れてしまう。「じゃあ、おれのこと好きにな…もっと見る
なくしたくない記憶があるのなら、
それを守ることができればいいと思った