ニャルさまは干物女子にお熱中〜歪んだ愛で溺愛される哀れな干物女子が落ちるまで〜

作者巴 遊夜

 それは夜の世界だった。人間のいない静かな空間、化け物から逃げる恐怖と寂しさの中、その男に出会った。
「キミのその幸運と強さと無知さをボクは愛そう」
 顔の良い男はそう言った。中身は化け物だというのを分かっていながらも、その男の微笑みからは目が離せない。それほどに男は魅力的だった。

 これは邪神…



「ボクはキミを愛している」


 顔の良い男は爽やかに微笑んでいる。

私は知っている、この男は私が狂っていく様を眺めていたいからだと。

なんでもないように吐かれる愛の言葉にはそれなりの対価が必要なことを。


 この男は化け物だ、邪神なのだ。

こんなにも顔の良い人間の男に擬態しているけれど中身は化け物だ。

私が恐怖し、困惑し、狂っていく様を眺めたい、楽しみたい、ただそれだけ。


 だから、この男を愛してはいけない。

好きになってはいけない、愛してはいけない、戻れなくなってしまう。


 だというのに、どうしてだろうか。

どんどんと落ちていく、落ちて、落ちて、戻れなくなる。

これも全て、この男の、化け物の、邪神のせいだ、なにもかも。


あぁ、今日もまたじわりじわりと落ちていく。



野薔薇



 ※この作品はフィクションです。


※作品内に登場する人物・組織は架空のものであり、物語で発生する事件などは犯罪行為を助長する目的はありません。